「日本の財政はギリシャ以下」は本当か?石破総理の発言を徹底検証!
多くの人が不安に感じているので、今回はその疑問に答えてみたいと思います。
2025年5月、石破茂総理大臣は参院予算委員会で「日本の財政状況は、ギリシャよりもよろしくない」と発言しました。さらに5月28日には、加藤勝信財務相や財務官僚も「その認識に同意する」と述べ、波紋を広げました。
実は、これと同じような発言は過去にもありました。2010年、当時の菅直人総理も「日本の財政はギリシャより悪い」と述べ、消費税増税の議論をスタート。民主党は2009年の選挙で「消費税は4年間議論しない」と公約していたにもかかわらず、政権に就くや否や180度転換。財務省の影響力を受けた結果だったとも言われています。
では、日本の財政は本当にギリシャより悪いのでしょうか?
データで見る日本とギリシャの違い
財務省や石破総理が根拠とするのは、「債務残高の対GDP比(政府債務比率)」です。たしかに、日本はこの比率が非常に高く、ギリシャ、アルゼンチン、レバノンなど過去に財政破綻した国々よりも常に高水準にあります。
しかし、それでも日本はこれまで一度も財政破綻していませんし、むしろ国債金利は世界最低水準。なぜでしょうか?
その答えは「通貨の違い」にあります。
日本とギリシャ、何が違うのか?
過去に財政破綻した国々──ギリシャ、アルゼンチン、レバノン──には共通点があります。それは、自国で通貨発行できない環境にあったということです。
- ギリシャはユーロを使っており、通貨発行はECB(欧州中央銀行)が管理。
- アルゼンチンやレバノンの多くの国債は「米ドル建て」で、ドルを自国で発行することは不可能。
一方、日本はどうかというと、すべて日本円建ての国債。しかも、その日本円は日銀が発行しており、日本政府はその親会社。つまり、政府が発行した国債を、政府の子会社である日銀が買い取るという構造です。
この仕組みにより、日本は自国通貨で債務を返済できるため、理論的には財政破綻しにくい構造になっています。
「債務対GDP比」が高くても問題ない理由
「政府の借金=国の危機」というイメージが広がっていますが、実はこの「債務対GDP比」という指標自体に、財政の健全性を正確に示す力はあまりありません。
なぜなら、日本のような通貨発行国では、インフレや金利上昇といった副作用に注意する必要はあっても、「借金が返せないから破綻する」というリスクは極めて低いからです。
本当に危険なのは、財政の数字よりも「誤解された情報」
「ギリシャよりも悪い」といった表現は、海外の事情を無視したミスリードになりがちです。実際、現在のギリシャは財政破綻から回復し、長期金利は約3.4%と安定しています。
日本はそのギリシャよりも金利が低く、国債も安定的に消化されている。財政状況を「単純な数字」だけで判断することがいかに危険か、私たちは知っておく必要があるでしょう。
この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。
