「株主ファースト」が日本を壊した真実
静かに進んだ減税革命の裏側
日本の法人税率は、1980年代後半の約45%から、現在では23.2%へとほぼ半減している。消費税の増税は大々的に報じられるが、大企業の負担を減らすこの「静かなる減税革命」はほとんど話題にならない。
この30年間、日本の税制は「消費税増税」と「法人税減税」を完璧なセットとして進めてきた。財界が求める減税の穴埋めに、庶民の消費税が使われてきたのが実態である。「社会保障のため」という美名は、この不都合な事実を隠すための煙幕にすぎない。
500兆円が眠る金庫と株主資本主義
法人税が下がった分、企業の手元には膨大な資金が残った。しかし、それは従業員の賃上げや国内投資には回らなかった。日本企業の内部留保は、今や国内総生産に匹敵する500兆円を超え、過去最高水準のまま金庫に眠っている。
さらに、余剰金は「配当金」や「自社株買い」という形で株主へ過剰に還元されている。従業員の利益や長期的な企業価値を後回しにし、目先の株主利益を最優先する米英型の「株主資本主義」に、日本企業も深く染まってしまったのだ。
奪われた15円と経済の主敵
企業が生み出した付加価値のうち、労働者に分配される割合を示す「労働分配率」は、かつての約75%から近年では60%前後へと急落している。企業が稼いだ100円のうち、15円分が従業員の懐から消え、株主や内部留保へと移し替えられた計算だ。
この分配構造の歪みこそが、長期にわたる賃金低迷の正体である。給料が上がらなければ消費が冷え込み、内需が縮小するのは当然だ。税制という仕組みを通じて、庶民から一部の富裕層や株主へ富を流す「収奪のループ」が完成している。
税制を庶民の側に取り戻すために
会社は誰のものか。かつての日本的経営が持っていた「三方良し」の精神を思い出すときだ。企業に過剰な内部留保を溜め込ませず、賃上げや未来への投資を促すための大胆な税制改正が必要である。
具体的には、内部留保への課税強化や、株式配当への累進課税化、そして法人税率の引き上げだ。その財収を消費税減税へと回し、所得移転のベクトルを逆向きにしなければならない。歪んだ税制を正すことこそが、日本経済を再生させる唯一の道である。
