「移民で経済成長できるのか?日本に必要なのは“人”より“投資”」
多くの人が悩んでいるので、今回は「移民と経済成長の関係」について、少し深掘りして考えてみたいと思います。
「移民を入れれば労働力が増えて経済が回る」とよく言われます。でも、それは本当でしょうか?
実は、「移民を受け入れつつ、高度経済成長を達成した国」というのは、驚くほど少ないのです。
唯一の例は19世紀のアメリカと言われています。
一方で、移民を受け入れずに経済成長した国は多くあります。たとえば、産業革命期のイギリスやドイツ、高度経済成長期の日本、そして近年の中国などがそうです。
ではなぜ、移民と成長の関係がこれほど注目されるのでしょうか?
■ 経済成長のカギは「生産性の向上」
経済が成長するとは、簡単に言えば「一人ひとりの働きによって生み出す価値=生産性」が高まることです。
例えば、10人で年間100個の商品を作っていた国が、生産性が10%向上して110個を作れるようになったとします。これは立派な経済成長です。
でも、逆に労働者を11人に増やしたのに、生産性が下がって一人あたり9個しか作れなければ、合計99個。かえってGDPは減ってしまいます。
■ 生産性が下がるパターンとは?
「そんなこと本当に起きるの?」と思うかもしれませんが、よくある話です。
例えば、機械が壊れたときに新しい機械を導入せず、人手を増やしてツルハシで作業させるような状況です。これは極端な例ですが、実際に日本ではこんな“人海戦術”が増えていると感じませんか?
事実、日本の労働生産性は製造業で横ばい、サービス業では低下傾向です。実質賃金が下がっているのも、当然の結果でしょう。
■ 経済成長に必要なのは“4つの投資”
生産性を高めるには、以下の4つの投資が欠かせません。
- 公共投資
- 設備投資
- 人材投資
- 技術投資
しかし、今の日本はどうでしょう?
政府は緊縮財政、企業もデフレ環境では新たな投資に踏み切れません。これでは経済は成長しないのです。
■ 19世紀アメリカの特殊性とは?
さて、唯一「移民と高度成長を両立した」と言える19世紀のアメリカでは、実は労働力が増え続けても「人手不足」状態が続いていました。
移民がどんどん入ってきても、それ以上に需要が膨らんでいたため、労働市場は常に逼迫していたのです。その結果、実質賃金も欧州より約3割高い水準を維持していました。
これはつまり、「移民がいたから成長した」のではなく、「成長の勢いが移民を必要とした」というのが正しいのです。
■ 移民は成長のカギを握るか?
ここで、移民推進派に問いたいと思います。
- 移民を受け入れれば、人手不足は深刻化しますか?それとも緩和されますか?
- 生産性向上のための投資は進みますか?それとも止まりますか?
答えは明らかです。
日本の現状では、移民は「安い労働力」として使われ、生産性向上のための設備投資や技術革新が後回しにされる恐れがあります。それはつまり、長期的に見れば経済成長を妨げることになります。
少なくとも、今の日本にとって必要なのは“人を増やす”ことではなく、“生産性を高める投資”なのです。だからこそ、安易な移民政策には反対するのです。
この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。
