デフレという病とインフレの真実
生活を破壊するデフレの正体
物価高に苦しむ今、デフレの方がマシだったと感じるかもしれない。しかし、それは地獄の入り口だ。物価が下がり続けるデフレは、企業の売り上げを減らし、賃金を下げ、消費をさらに冷え込ませる悪循環を生む。
さらにお金の価値が上がるため、誰もお金を使わなくなり経済が凍りつく。日本が経験した「失われた30年」の正体は、まさにこの病的な状態だった。現在のコストプッシュ型インフレは確かに痛みを伴うが、それでもデフレよりは遥かにマシなのである。
動き出した賃上げと投資の歯車
デフレよりマシと言える最大の理由は、30年間動かなかった「賃上げ」のレバーが物理的に動き出したことだ。物価高に直面した企業は値上げを余儀なくされ、名目上の売り上げが増えたことで、賃上げ交渉の土台が生まれた。
さらに、物価上昇率が金利を上回ることで実質金利が低下する。お金を貯め込むより、今投資しなければ損だという心理が働き、企業や家計が動き出す。これらはデフレ下では絶対に起き得なかった経済のダイナミズムである。
国家の借金問題を勝手に楽にする
日本の債務問題の本質は、額の大きさではなく「対GDP比」にある。分子である借金を減らそうと緊縮財政を行えば、分母であるGDPが縮み、状況はさらに悪化する。
正解はインフレによって名目GDPという分母を増やすことだ。物価が上がれば国の年収も自然と増え、債務の比率は何もしなくても改善していく。また、「価格転嫁は悪」という呪縛が解け、コストに見合った価格設定という市場経済の基本機能も回復していく。
利上げと増税という致命的な誤り
今、最もやってはいけないのが、インフレ退治と称した利上げや増税だ。これらは需要が過熱している時には有効だが、現在の供給ショックによる物価高に対しては逆効果であり、芽生えた回復の兆しを根こそぎ破壊する。
正しい処方箋は、消費税の減税や補助金によって家計の負担を和らげ、国内の供給力を支える積極財政である。私たちは「国の借金で破綻する」という呪縛を捨て、経済を正常化させる正しい選択をしなければならない。
