日本が財政破綻しない理由
日本は財政破綻する。ニュースや新聞でそんな言葉を耳にするたび、将来への漠然とした不安を抱く人は多いだろう。しかし結論から言えば、日本が国債を返済できずに財政破綻することはあり得ない。なぜなら、日本が発行する国債は、すべて日本円で返済されるものだからだ。この「財政破綻論」という神話を、一度整理してみる必要がある。
メディアが好んで使う「国の借金」という言葉には、大きな誤解が含まれている。国債を発行してお金を借りているのは「日本政府」であり、私たち国民ではない。さらに、国債の貸し手である金融機関の預金者は、私たち国民自身だ。つまり、国民は借金を背負っているのではなく、間接的に政府へ資金を貸している債権者の立場にある。国民一人当たりの借金といった表現は、事実とは逆の詭弁に過ぎない。
日本が破綻しない決定的な理由は、政府が発行する国債が「自国通貨建て」であることだ。日本には通貨を発行する権限を持つ日本銀行が存在する。政府と日銀を統合して考えれば、自国通貨で発行された借金を返せなくなる事態など、論理的にあり得ない。通貨発行権を持つ国が、自国通貨建ての借金を返せずに行き詰まることは、実務上も起こり得ないことなのだ。
海外の財政破綻事例を引き合いに不安を煽る意見もあるが、日本とは前提が全く異なる。ギリシャが破綻したのは、自国で発行できない共通通貨「ユーロ」建ての国債だったからだ。レバノンやアルゼンチンも同様に、自国通貨ではない外貨建ての借金が返せなくなったことが原因である。円という通貨を自ら発行できる日本とは、土俵が根本的に違う。
最も注目すべきは、財務省自身が「デフォルトは考えられない」と公式に認めているという事実だ。二〇〇二年、格付け会社に対し提出した意見書の中で、先進国の自国通貨建て国債はデフォルトしないと明言している。政府内には破綻などあり得ないという共通認識があるにもかかわらず、国内向けには危機を強調し、緊縮財政を正当化しているのが実情である。
本当に恐れるべきは、ありもしない破綻論を理由に、政府が本来必要な支出を渋ることだ。インフラ投資や社会保障など、国家として必要な投資を止めてしまえば、経済は停滞し、国民生活は貧しくなる。誤った財政破綻論に惑わされず、お金と国家の正しい仕組みを理解することこそが、私たちが豊かな生活を取り戻すための、最初の一歩となる。
