政治・経済

日本経済を揺るがす「緊縮」と「積極」の暗闘

taka

見えざる「みなし予算」の罠

令和8年度予算が成立したが、インフレ分を除けば実質的に前年度とほぼ横ばいである。これは、基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの黒字化目標に基づき、当初予算が厳しく圧縮された結果といえる。これまで財務省は、当初予算を意図的に抑え込み、秋の補正予算で上振れした税収を充てるという手法をとってきた。しかし、現在政府が進めようとしている成長への本格的な投資は、単発の補正予算ではなく、持続的な本予算に組み込むべきだという強い意思がある。その結果、次年度の本予算づくりに全力が注がれ、直近の補正予算が「迷子」になるという皮肉な事態も懸念されているのである。

家計を圧迫する財政の呪縛

財政を巡る問題はこれだけではない。これまで政府の試算では、家計と企業の貯蓄率が混同され、実態が見えにくくなっていた。本来、家計は豊かになって貯蓄を増やし、企業は融資を受けて投資を行うのが健全な経済の姿である。また、経済成長に対する税収の伸びを示す「税収弾性値」についても、実態は2.5前後であるにもかかわらず、財務省は低く見積もる傾向がある。本来であれば、この数値が1に近づくよう、取りすぎた税を減税によって国民に還元するのが正しい政策のあり方といえるだろう。

投資の果実と時間の壁

未来に向けた投資には、時間がかかる。インフラ整備や次世代エネルギーの開発など、数年で結果が出るものはほとんどない。しかし、現在の財政ルールでは、投資の成果を単年度、あるいはせいぜい3年程度の短い期間で回収することが求められがちだ。諸外国のように、10年以上の長期的な視点で投資と回収を見据えることができれば、より大胆な減税や積極的な財政出動が可能になる。目先の数字に囚われるのか、長期的な国家の成長を描くのか。ここで方針が大きく分かれるのである。

成長の扉を開くための戦い

経済のパイそのものが膨らまないことを前提とした「緊縮思考の呪縛」から脱却できるかが、今後の日本経済の鍵を握る。名目GDPを持続的に成長させることができれば、それは一時的な税収増ではなく、恒久的な財源へと変わるはずだ。現在、政府の内部では「積極財政」を推し進めたい勢力と、徹底してブレーキをかけようとする「緊縮財政」派との間で、激しい暗闘が繰り広げられている。この見えざる戦いの行方が、私たちの未来の暮らしを決定づけると言っても過言ではない。

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ABOUT ME
TAKA
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理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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