『自民敗北が導く政治の正常化と選挙制度改革の行方』
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Taka Knowledge Output
GDP(国内総生産)は、国内の消費や投資などの「内需」に「輸出」を加え、そこから「輸入」を差し引いたものである。つまり、輸入はGDPを縮小させる要因として働く。ここで重要なのは、デフレとは単なる「物価下落」ではなく、「総需要の不足」を意味するということだ。したがって、輸入金額が膨らむことは、総需要を減らし、経済をデフレ化の方向へと引っ張る力になるのである。
現在、世界的な地政学リスクや供給網の混乱を受け、輸入物価が高騰し始めている。この輸入物価の上昇は、私たちの生活に直結する消費者物価を容赦なく押し上げる。しかし同時に、支払う輸入金額が膨らむことで、国内で使えるお金、すなわち総需要は縮小してしまうのだ。物価が上がっているのに、経済のパイは縮んでいく。これが、今私たちが直面している経済的矛盾の正体である。
この事態が進行すると、「総需要は縮小するにもかかわらず、消費者物価は上昇する」という状態に陥る。生活実感としての物価は上がるが、国内の総合的な経済指標である「GDPデフレーター」は下落していくのだ。ある専門家はこれを「股裂き」と表現した。中国で懸念されるような、失業率の高騰を伴う本格的なスタグフレーションにすぐ陥るわけではないだろうが、日本もまた、この股裂きの痛みに苛まれる可能性は極めて濃厚といえる。
このような状況下で、輸入物価上昇による消費者物価の高騰だけを見て「日本はついにデフレを脱却した」と勘違いする声が後を絶たない。しかし、それは経済の仕組みに対する無理解からくる幻想にすぎない。物価が上がっていても、総需要が縮小している限り、それは実質的なデフレ化に他ならないからだ。表面的な数字に騙されず、経済の深層で静かに進行する危機を、冷徹に見極める必要がある。