逆境をどう受け止めるかで人生は変わる|マルクス・アウレリウスとルーズベルトに学ぶ心の在り方
「外的なものに心を乱されるとき、君の心を乱すものはそのもの自体ではなく、君の受け止め方である。そして、君の考えひとつで、それをすぐにでも消し去ることができる」
これはローマ皇帝にして哲学者、マルクス・アウレリウスの『自省録』に記された言葉です。
彼の言葉は2000年近く経った今でも、私たちの心に深く響きます。
人生では、自分の思い通りにならない出来事が必ず訪れます。病気、事故、人間関係のトラブル、仕事の失敗……。それ自体は確かに「外的な事実」です。しかし、それが心を乱すかどうかは、私たち自身の「受け止め方」次第なのです。
ルーズベルトの逆境
歴史を振り返れば、この考えを体現した人物がいます。
それが、アメリカ第32代大統領 フランクリン・デラノ・ルーズベルトです。
彼は若くして政治の世界に飛び込み、大統領を目指して順調にキャリアを積んでいました。ところが39歳のとき、突然ポリオ(小児麻痺)を発症し、下半身が不自由となってしまいます。医師から「もう今までのようには生きられない」と告げられ、普通なら絶望してもおかしくない状況でした。
もし彼が「自分は不幸な被害者だ」と思い続けていたら、そこで政治家としての道は終わっていたでしょう。ですが、ルーズベルトは違いました。彼は病気を受け入れつつも、それを人生の終わりとは捉えませんでした。むしろ、その経験が人々の苦しみを理解し、共感できるリーダーへと彼を成長させたのです。
その後、彼は大統領となり、大恐慌や第二次世界大戦という未曾有の危機を乗り越えて、アメリカ史上最も偉大な指導者の一人として名を残しました。
「受け入れること」と「受身になること」の違い
ここで大切なのは、「受け入れる」ことと「受身になる」ことは違うという点です。
受け入れるとは、起きた事実を否定せず、冷静に受け止めること。
一方で受身になるとは、出来事に押し流されて何も行動しないことです。
ルーズベルトは病気という現実を否定することなく受け入れましたが、そのうえで「自分にできること」に意識を向けました。だからこそ、逆境を乗り越え、より大きな影響力を持つリーダーとなれたのです。
私たちの日常への応用
では、私たちが日常で困難に直面したとき、どうすればよいのでしょうか。
- まず事実を冷静に受け止める
「なぜ自分だけがこんな目に…」と考えると被害者意識に囚われます。事実は事実として認めましょう。 - 受け止め方を選ぶ
同じ出来事でも、「最悪だ」と思えば心が沈みますが、「学びの機会だ」と思えば前進のきっかけになります。 - 行動を選ぶ
受け入れることは諦めることではありません。「今の自分にできる最善は何か」を考え、少しずつ動くことが大切です。
まとめ
マルクス・アウレリウスの言葉とルーズベルトの生き方は、どちらも「物事の受け止め方が人生を決める」という真理を示しています。
外部の出来事を変えることは難しくても、自分の心の持ち方は選ぶことができます。困難に直面したときこそ、自分の考え方ひとつで未来は変わるのです。
あなたも次に壁にぶつかったとき、「これは自分を成長させるチャンスかもしれない」と受け止めてみませんか?
