人は誰しも、うまくいかない時期を経験します。仕事が思うように進まない、信念を見失った気がする、なんとなく気持ちが空回りしている――そんな日々が続くと、「もう立て直せないのではないか」と不安になることもあるでしょう。
しかし、古代ローマ皇帝であり哲学者でもあったマルクス・アウレリウスは『自省録』の中でこう記しています。
「お前の信じる原則が、死ぬことはない。その糧となる思いが消えないかぎり、死ぬはずはないのだ。そして、その思いを再び燃え上がらせるのは、常にお前次第だ……もう一度生き直すことはできる!」
この言葉は、停滞している自分を奮い立たせる力を持っています。
原則は死なない
マルクスが伝えたかったのは、「一時的に心が揺らいでも、自分が信じる原則そのものは消えない」ということです。
たとえば、誠実でありたい、努力を続けたい、家族を大切にしたい――そうした原則は一時的に忘れ去られてしまうことはあっても、決して消滅することはありません。火が小さくなっても、再び息を吹きかければ炎は戻るのです。
偉大な哲人にも迷いはあった
「皇帝」と聞くと、常に冷静で完璧な人物を想像するかもしれません。しかしマルクスもまた人間でした。
元老院議員との衝突、息子の問題行動、戦乱や政治の混乱――彼にも怒りや落胆、自己嫌悪に陥る瞬間はあったはずです。だからこそ彼は『自省録』を自分自身に向けて書き続けました。
「大丈夫、原則は変わらない。私はまた立ち戻れる」
この自己対話こそが、彼を支えたのでしょう。
過去は過ぎ去ったもの
私たちはしばしば「昨日の失敗」を引きずります。あのときあんな言葉を言わなければ、もっと努力していれば――そんな後悔が心を縛ります。
しかしマルクスは言います。「昨日どころか、五分前のことすら過去である」と。
つまり、過去はすでに変えられないもの。私たちが影響を与えられるのは「今この瞬間」だけです。だからこそ、過去を悔やむより「今からやり直す」と決めることが重要なのです。
心に火をつけ直す方法
では、具体的にどうすれば「もう一度心に火をつける」ことができるのでしょうか。いくつかの実践的なステップを紹介します。
- 原則を書き出す
自分が大切にしたい原則や信念を紙に書き出してみましょう。シンプルな言葉で構いません。「誠実に生きる」「学びをやめない」など。 - 小さな行動を起こす
いきなり大きな改革をしようとすると挫折しやすくなります。まずは「今日は10分だけ勉強する」「一人に感謝を伝える」など、小さな行動から始めましょう。 - 自分に優しく声をかける
マルクスが自分に言葉をかけ続けたように、私たちも「大丈夫、やり直せる」と自分に語りかけることが大切です。
人生は何度でもやり直せる
「もう一度心に火をつける」ことは、決して大げさな話ではありません。むしろ日常の中で繰り返し必要になる営みです。
- 挫折したときにやり直す
- 迷ったときに原則に戻る
- 疲れたときに心に息を吹きかける
このプロセスを繰り返すことで、私たちは少しずつ強く、自由になっていきます。
まとめ
マルクス・アウレリウスの言葉は、私たちにこう伝えています。
- 原則は決して死なない
- 過去は変えられないが、今からやり直すことはできる
- 心に火をつけ直すのは自分次第
たとえ昨日までどんな状態だったとしても、今日から、いや、この瞬間から人生を新しく始めることができます。
👉 もし最近うまくいっていないと感じているなら、深呼吸をして「今からもう一度始めよう」とつぶやいてみましょう。その言葉が、あなたの心に新しい火を灯すはずです。