自民党総裁選の農業政策を比較!日本の農業に未来はあるのか?
多くの人が悩んでいる「日本の農業の将来」。今回はその解決策として、自民党総裁選における各候補者の「農業政策」をわかりやすく整理してみました。
現在、農業政策は国の根幹に関わるテーマですが、残念ながら、どの候補も本質的な対策を打ち出しているとは言えません。公約が実行される保証はありませんが、候補者の「思考の方向性」を見極める材料にはなりそうです。
■ 所得補償は“封印”されたまま
まず注目すべきは「農家個別所得補償」制度。これは欧州で広く採用されている農業支援策で、生産量に関わらず農家の収入を安定させるための仕組みです。しかし、今回の総裁選では、この制度に言及した候補はいません。
背景には、2018年に安倍政権が民主党政権時代の所得補償制度を終了させたことがあると考えられます。一部では、安倍元首相を神格化する風潮がこのテーマを「触れてはいけないもの」にしているという声も。
■ 価格保障を掲げるのは誰?
所得補償には触れなかったものの、高市早苗氏と小林鷹之氏の2人は「再生産可能な価格を目指す」と発言しています。これはアメリカ型の価格保証方式を意味しており、生産コストに見合った価格を市場で実現しようとする考え方です。
どちらの方式にせよ、政策実現には1兆円超の予算が必要とされます。それでも、国の食料安全保障を考えれば“安い投資”とも言えるのではないでしょうか。
■ 食料自給率に対する姿勢は?
食料自給率をどう引き上げるかも、今回の焦点です。
- 高市早苗氏:自給率100%を目指すと明言。農業予算の拡充にも意欲を見せ、農地の大区画化や施設の再編を掲げています。
- 小林鷹之氏・林芳正氏:自給率向上に前向きだが、具体的な数値は示していません。
特に高市氏は「農業構造転換集中対策期間(2025〜2029年)」において、農業基盤の再整備に取り組む姿勢を強調しています。
■ 小泉進次郎氏は抽象論のみ?
一方、小泉進次郎氏は「不安なく増産に取り組めるセーフティネット」や「地域コミュニティの活性化」といった官僚的なフレーズを繰り返すだけで、具体策に欠ける印象が否めません。特に「セーフティネット」が何を意味するのか、明確な説明が求められます。
■ 大区画化・集約化の現実的課題
高市氏が主張する「農地の大区画化」についても、日本では実現が困難とされています。なぜなら、日本の農地は中山間地域に多く、土地が分散しているからです。
加えて、農地の面積が増えると、必要な人手や機械も比例して増加。結果として、機械の稼働率が下がり、生産コストがむしろ上昇してしまうのです。
例:
- 100haを1台の機械でフル稼働 → 稼働率100%
- 150haを2台の機械で作業 → 稼働率は75%に低下
このように、単純に「広げれば効率的」というわけではありません。むしろ土地の制約や機械の稼働効率を考慮したうえで、現実的な支援策が求められます。
自民党総裁選の結果がどうなるかは分かりませんが、候補者の政策から私たちが読み取れるのは、「農業をどう見ているか」という視点です。少しでも日本の農業を立て直すため、政治に関心を持ち、声を届けることが大切です。それは、自分自身や家族の暮らしを守ることにもつながっています。
この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。
