「アドラー心理学が教える“子どもを対等に扱う”子育てのすすめ」

子どもは「未熟な人間」ではなく「一人の人間」

私たちはつい、子どもを「まだ未熟だから」「親が導かなければならない存在」と見がちです。もちろん、経験や知識の面で子どもは大人より未発達です。しかし、アドラー心理学では 子どもも大人と同じ“人間”として尊重すべき存在 とされています。

『子どもの教育』では次のように述べられています。

「私たちは、自分の子どもに友人として、あるいは対等な人間として接するべきだ。」

この言葉が示すのは、親子であっても「支配と服従の関係」ではなく、「尊重と協力の関係」を築くべきだという考え方です。

「対等に接する」とはどういうことか？

「対等」と聞くと、「子どもを親と同じ決定権を持つ存在にするのか？」と思う人もいるかもしれません。ここでいう対等とは、 人間としての尊厳を認める ということです。

• 子どもの意見を無視しない
• 失敗を人格の欠陥として扱わない
• 上から押さえつけるのではなく、協力して課題を解決する

こうした姿勢が「対等な関わり方」です。

親が「まだ子どもだから」と軽視してしまえば、子どもは「自分は認められていない」と感じ、自己肯定感を損ないやすくなります。逆に、尊重される経験は、子どもの心を強くし、自立心を育てます。

アドラー心理学が重視する「尊重」と「共同体感覚」

アドラー心理学の核心にあるのが 共同体感覚（community feeling） です。これは「自分は仲間に貢献できる存在だ」という感覚のこと。

家庭は最も身近な共同体であり、ここで尊重される体験を積んだ子どもは、学校や社会でも健全な人間関係を築きやすくなります。
逆に、家庭で抑圧され、常に命令される関係しか知らない子どもは、対等な関係を築くことを苦手としやすいのです。

実践的なアプローチ

1. 子どもの意見を聞く習慣を持つ

たとえば、食事のメニューや休日の過ごし方など、家庭の小さな決定に子どもの意見を取り入れることで「自分の声が届いている」と感じられます。

2. 命令ではなく「お願い」として伝える

「宿題をやりなさい！」ではなく「宿題を今やる？それともご飯のあとにする？」と選択肢を与える。こうすることで、強制ではなく協力の関係になります。

3. 子どもの失敗を尊重する

失敗は叱責の対象ではなく、学びの機会です。「なぜそうなったのか一緒に考えよう」と伴走することで、子どもは安心して挑戦できます。

4. 感謝や承認を言葉で伝える

「手伝ってくれて助かったよ」「あなたがいてくれて嬉しい」という言葉は、子どもの存在そのものを肯定します。

親が「上に立つ」必要はあるのか？

もちろん、親は子どもを導く役割を持っています。しかし、それは「権力による支配」ではなく、「経験の先輩として伴走する」立場であるべきです。

親が一方的に支配すると、子どもは「従う」か「反発する」かの二択しか持てなくなります。対等な関係は、子どもに「協力する」「話し合う」「自分で決める」という第三の選択肢を与えるのです。

まとめ

アドラー心理学の『子どもの教育』が伝えるメッセージは明快です。

「子どもを親より劣った存在として扱うのではなく、対等な人間として接することが、健全な成長につながる」

親が尊重して接することで、子どもは「自分は価値ある存在だ」と感じ、やがて社会で他者を尊重できる人へと育っていきます。

あなたが子どもと接するとき、その関係は「命令と服従」になっていませんか？
今日から少しだけ視点を変え、「友人として、仲間として」子どもと関わってみてください。

TAKA

理学療法士/ビール

YouTubeContact

理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。