自己啓発

思春期は本当に問題なのか?|アドラー心理学が示す「適切な教育」の力

taka

思春期といえば、多くの親や教育者が「反抗期」「トラブルの多い時期」と考え、不安を抱きがちです。
確かにこの時期は、感情の起伏が激しくなったり、親や教師に反発したり、進路や友人関係に悩んだりと、課題が多いように見えます。

しかし心理学者アルフレッド・アドラーは、著書『人生の意味の心理学』の中で、思春期をこう表現しています。

子どもが社会において対等な一人の人間だと感じ、共同体に貢献できるように教育されてきたなら、思春期は問題ではない。

つまり、思春期は本来「危機」ではなく、自立へ向けた自然な成長のプロセスなのです。


適切な教育とは何か

では、アドラーのいう「適切な教育」とはどんなものなのでしょうか。大きく3つの要素があります。

  1. 対等な存在として扱う教育
    子どもを「未熟だから指示に従わせる対象」ではなく、「対等な人間」として尊重すること。意見を聞き、選択の自由を認める姿勢が大切です。
  2. 共同体感覚を育む教育
    「自分は共同体の一員である」という感覚を持たせること。家庭や学校で役割を与え、他者に貢献する経験を積むことで、社会性が育ちます。
  3. 異性を対等なパートナーと見る教育
    異性を「ライバル」や「支配の対象」としてではなく、「対等な仲間」として関わることを学ぶこと。これは将来の人間関係やパートナーシップに直結します。

これらの教育を受けてきた子どもにとって、思春期は「反抗や問題行動の時期」ではなく、自分なりに考え、工夫しながら課題を解決していく時期になるのです。


思春期は「大人になるための練習」

思春期に訪れる課題――進路、友情、恋愛、自立。
これらはすべて「大人になるための練習問題」と言えます。

適切な教育を受けてきた子どもは、この時期を「試練」ではなく「チャレンジ」として乗り越えられます。
一方で、家庭や学校で「命令に従う」「評価に応える」ことばかりを求められてきた子どもは、自分で考えて解決する力が不足し、思春期を「危機」として経験することになるのです。


親や教師にできるサポート

思春期を問題のない成長期として過ごせるようにするために、大人ができることは次の3つです。

  1. 信頼を示す
    「あなたは自分で考えて行動できる」と信じて任せる。
  2. 安心できる環境をつくる
    失敗しても受け入れられる家庭や学校であれば、子どもは挑戦を続けられます。
  3. 勇気づける
    小さな努力や工夫を認め、「やってみてよかった」という感覚を積み重ねさせる。

これらは、子どもを叱るよりもはるかに効果的に成長を支える方法です。


大人にとっての学び直し

この考え方は、子どもに限らず大人にも当てはまります。
社会での人間関係やパートナーシップにおいて「対等さ」と「貢献感覚」を持てている人は、困難を乗り越える力を発揮できます。

もし思春期にうまく適応できなかった経験があっても、人生のどの段階でも学び直すことは可能です。アドラー心理学は、そのための大きなヒントを与えてくれます。


まとめ

思春期は本来「問題の時期」ではなく、「大人になるために自分で課題を解決する練習の時期」です。
適切な教育――対等な関係、共同体感覚の育成、異性をパートナーとして尊重する姿勢――を通して育てられた子どもにとって、思春期はむしろ成長のチャンスとなります。

親や教師にできるのは、子どもを信じ、勇気づけ、安心できる環境を提供すること。
それが、思春期を「危機」ではなく「飛躍のステップ」へと変える力になります。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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