教師の聖なる義務とは｜子どもに勇気と自信をもたせるアドラー心理学の教育観

学校教育の目的とは何でしょうか。
学力をつけること、社会性を身につけること、ルールを守れるようにすること――これらは確かに重要です。

しかし心理学者アルフレッド・アドラーは、教育に携わる人が決して忘れてはならない「教師の聖なる義務」があると述べています。

それは、どの子であっても勇気をくじかれないようにすること。
すでに勇気を失って学校に来る子どもには、再び自信を取り戻せるようにすること。

つまり、教師の最も大切な役割は、子どもたちの「勇気と自信」を守り育てることなのです。

なぜ勇気と自信が教育の中心なのか

勇気と自信があれば、子どもは困難な課題に挑戦し、失敗から学び、仲間と協力することができます。
逆に勇気を失った子どもは、挑戦を避け、逃げやごまかしに走り、孤立してしまいます。

教育の目的は、単なる知識の伝達ではなく「未来に向けて希望を持てる人を育てること」です。
だからこそ、勇気と自信を育てることは教育の中心であり、教師の「聖なる義務」と呼べるのです。

勇気を失った子どもに必要なこと

すでに勇気を失って学校に来る子どもも少なくありません。
家庭環境や過去の経験から「自分はダメだ」と思い込み、学習や人間関係に消極的になっている子どもたちです。

そうした子どもに対して教師ができることは――

1. 安心できる環境をつくる
   ミスを責めず、挑戦を評価する教室。
2. 小さな成功体験を積ませる
   達成可能な課題を与え、「自分にもできる」という感覚を育てる。
3. 個性を尊重する
   他者との比較ではなく、その子自身の成長に注目する。
4. 勇気づけの言葉をかける
   「よく頑張ったね」「工夫できたね」と努力を認める。

これらの取り組みが、子どもに再び自信を取り戻させるのです。

勇気をくじく教育の危険性

反対に、教師が無意識に勇気をくじいてしまうこともあります。

• 成績や能力だけで子どもを評価する
• 「どうしてできないの？」と責める
• 優秀な子と比較して劣等感を植えつける

これらは一見「教育的指導」に見えても、子どもの勇気を奪い、自信を失わせてしまいます。

教師自身も勇気を持つことが必要

子どもに勇気を与えるためには、教師自身もまた勇気を持つ必要があります。

• 失敗を恐れずに新しい教育法を試す勇気
• 子どもの可能性を信じ続ける勇気
• 教師同士で協力し合う勇気

大人が勇気を持つ姿を見せることで、子どもたちは自然と「勇気を持つことの価値」を学びます。

まとめ

アドラー心理学によれば、教師の「聖なる義務」とは子どもの勇気をくじかず、自信を育てることです。
勇気と自信を持った子どもは、未来に希望を持ち、社会に貢献できる大人へと成長します。

教育とは、知識の伝達を超えて「人の可能性を信じ、育てる営み」です。
その価値を体現できるのは、子どもと共に歩み、勇気と自信を与える教師なのです。

TAKA

理学療法士/ビール

YouTubeContact

理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。