『あっという間に人は死ぬから』レビュー|時間を食べつくすモンスターを倒す方法
人生は、あっという間に終わってしまう
「いつか自分らしく生きられるようになる」――そんな希望を持ちながら、スマホや仕事に時間を奪われていないでしょうか。
佐藤舞(サトマイ)さんの新刊『あっという間に人は死ぬから』は、「人生を浪費してしまう本当の理由」と「後悔のない時間の使い方」を提示する一冊です。単なる時短術や効率化ではなく、人生の根本にある問いに迫るのが大きな特徴です。
時間を浪費する「モンスター」の正体
私たちは「時間がない」と口にしながら、気づけばSNSや動画に何時間も費やしてしまいます。これは意志が弱いからではなく、「人生の浪費」に陥っているからだと著者は指摘します。
その正体は、「死」「孤独」「責任」という逃れられない人間の3つの理(ことわり)から目をそらすための“代替行動”です。
- 死を意識したくないから、つい目の前の快楽に逃げる
- 孤独を紛らわせるために、なんとなくSNSを眺め続ける
- 責任を負いたくないから、他人の期待に流される
こうして「本心からの行動」を避け続けることが、人生を浪費する最大の原因なのです。
「体験の回避」が人生をすり減らす
本書では、人生を悪化させる行動パターンとして「体験の回避」を紹介しています。
テスト勉強をすべきなのに部屋の片づけを始める、上司に報告すべきことを先延ばしにする――これらは一時的な不安を避ける行動ですが、結果として長期的に人生を損ないます。
著者はワークを通じて、自分がどんな「体験回避」をしているかを書き出すことを推奨。まず「不安や恐怖を避けている自分」に気づき、そのうえで「どう行動するか」を主体的に選ぶことが大切だと説きます。
自分の「価値観」を明確にする
後悔のない時間の使い方をするには、自分の価値観を軸にすることが不可欠です。
価値観とは「自分が本当に大切にしたいこと」。義務感や他人の期待ではなく、心から「自分がやりたい」と思えるものです。
本書では、過去の困難な体験を振り返るワークを通じて価値観を見つける方法が紹介されています。苦しみや挫折の中で学んだことを言語化することで、自分の生き方の軸がはっきりしてくるのです。
人生を変える目標設定の3ステップ
価値観が見えてきたら、次は「目的・目標・手段」の3段階で行動を設計します。
- 目的:自分が本当に大切にしたい価値観
- 目標:目的を実現するために目指す到達点
- 手段:目標に近づくための具体的な行動
たとえば「創造性を発揮して人を感動させたい」という目的があれば、「漫画家になる」という目標を立て、そのための手段として「絵を描く」「新人賞に応募する」といった行動が生まれます。
もし目標が達成できなくても、目的さえ明確であれば、別の手段を選び直すことができます。大切なのは「目的=価値観」に基づいて時間を使うことなのです。
読後に残るもの
『あっという間に人は死ぬから』は、時間管理のハウツー本ではなく「どう生きるか」を突きつける自己啓発書です。
- 時間を浪費する原因は「人生の3つの理」との向き合い方にある
- 有意義な人生には「体験回避」をやめる勇気が必要
- 自分の価値観に基づいた目標設定が、後悔のない時間をつくる
本書を読めば、「自分は本当にどう生きたいのか」という問いが自然と浮かんでくるでしょう。
まとめ
- 「死・孤独・責任」から逃げる行動が人生を浪費させる
- 自分の価値観を明確にすると、時間の使い方が変わる
- 目的・目標・手段の3段階で行動すれば、後悔のない人生を築ける
人生は有限であり、あっという間に終わってしまう。だからこそ、自分の価値観に沿った時間の使い方を今すぐ始めることが大切です。
