『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』レビュー|先延ばし癖をなくす科学的アプローチ
「やる気が出ないから動けない」は勘違い
「今すぐやった方がいいのは分かっているけれど、なんとなく動けない」――。そんな悩みを抱える人は少なくありません。
本書『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』は、その原因を「性格」や「意志の弱さ」に求めません。実は、動けないのは脳の仕組みが関係しているのです。
私たちの脳は現状維持を好み、変化を避けるようにできています。だから新しい行動を始めようとすると、自動的にブレーキがかかってしまうのです。
行動のスイッチは「やる気」ではなく「10秒アクション」
著者が提案するのは「考える前に動く」こと。その最初の一歩として有効なのが 10秒アクション です。
- ランニングを始めたいなら、シューズを履くだけ
- 読書を習慣にしたいなら、本を机に開くだけ
- 仕事を再開したいなら、「10秒コマンドメモ」をパソコンに貼る
この「小さすぎて失敗しない行動」を起点にすることで、脳のやる気スイッチである「側坐核」が刺激され、自然と行動が続いていきます。
「仮決め・仮行動」で完璧主義を手放す
「しっかり決めてから始めたい」「完璧に準備してから行動したい」と考えるほど、動けなくなるものです。
本書では、まずは 仮決めで行動を始めること を推奨しています。
たとえば「自宅で腕立てを10回だけやってみる」など、小さな仮行動を積み重ねることで、自分に合った形を探しながら進めることができます。
行動を妨げる「ブレーキ」を外す
行動を止めるのは「意志の弱さ」ではなく、身近な環境や小さな障害です。
- 机の上が散らかっていて必要な書類が見つからない
- 作業を再開しようとしてネットニュースに流れてしまう
こうした行動ブレーキを防ぐには、整理整頓や「10秒コマンドメモ」といった仕組みが有効です。小さな工夫で集中力のロスを減らし、スムーズに行動を再開できるようになります。
ポジティブなイメージが行動を加速させる
「どうせできない」と思うと、脳は無意識にやらない理由を探し始めます。逆に「できた自分」をイメージすると、自然と体が動きます。
さらに、結果を「打率」で捉えることも有効です。5回に1回成功すれば十分、3回に1回なら一流と考える。そうすることで失敗を恐れず、行動を続けやすくなります。
時間を「投資・消費・浪費」で見直す
行動の基盤には「時間の使い方」があります。本書では「時間の家計簿」をつける方法が紹介されています。
- 投資:未来につながる時間(勉強・運動・人間関係の構築)
- 消費:生活に必要な時間(食事・通勤など)
- 浪費:意味のない時間(ダラダラSNS、目的のないネット)
浪費の時間を少し減らし、投資に回すだけで未来は大きく変わります。
ゼロベース行動とプラス行動
本書がユニークなのは「行動の質」にも注目している点です。
- ゼロベース行動:不満や不足をなくす行動(片づけ、タスク処理など)
- プラス行動:満足感や達成感を得る行動(夢や目標に向かう挑戦)
先延ばしをなくすだけでなく、人生を豊かにするためには「プラス行動」が不可欠です。そのために「ぶっとんだ目標」を立て、自分の価値観に沿った行動を選ぶことが大切だと著者は説きます。
読後に残るのは「行動は小さく始めれば続く」という安心感
『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』は、意志や根性に頼らず行動を起こすための実践的な一冊です。
- やる気は行動の後からついてくる
- 行動ブレーキを外せば自然と集中できる
- ゼロベース行動に加えてプラス行動を取り入れる
先延ばしに悩む人も、「まずは10秒動いてみよう」と思えるはずです。
まとめ
- 行動できないのは「脳の仕組み」が原因
- 最初の一歩は「10秒アクション」から
- ゼロベース行動に加え「プラス行動」で人生を豊かに
小さな一歩を積み重ねることで、「すぐやる人」への道は誰にでも開かれています。
