♟️ チェスから学べるもの④「状況はつねに変化する」──フランクリンが語る“逆境を乗り越える思考法”
■ 「状況はつねに変化する」──人生もチェスも、静止しない
フランクリンは、『チェスの教訓』の中でこう述べています。
「チェスから学んで身につけることができる習慣には、
現在の状況に落胆しない習慣、
有利な方向に変化することを望む習慣、
粘り強く対策を探し求める習慣がある。」
この3つの習慣こそ、変化の多い人生を生き抜くための「思考の筋力」です。
チェスの盤面は、常に動いています。
一手ごとに、状況が変化し、形勢が入れ替わる。
「局面が転換する場面も多いし、運は突然の浮き沈みに左右される。」
まるで、私たちの人生そのものです。
■ 苦境の中にも「抜け出せる一手」がある
フランクリンは、変化の本質を“希望の動き”として捉えていました。
「ずっと考え抜いているうち、とても抜け出せないような苦境から脱出できる一手が見つかる。
そんなことも、しばしばあるものだ。」
この一節は、単なるゲームの話ではありません。
人生にも、絶望のように見える局面はあります。
- 計画が崩れたとき。
- 思わぬトラブルに直面したとき。
- 努力が報われず、心が折れそうなとき。
けれど、そこで考えることをやめなければ、
必ずどこかに“打開の一手”が見えてくる。
チェスは、そんな**「希望の探し方」**を教えてくれるゲームなのです。
■ 「ステイルメイト」──完全な敗北など存在しない
フランクリンは、チェスにおける“引き分け”のルールを通じて、興味深い教訓を伝えます。
「プレイヤーは、自分のスキルによって勝つまで、
あるいは、すくなくとも敵失で『ステイルメイト』で引き分けになるまで、勝負をつづけるのである。」
“ステイルメイト”とは、もう動かす駒がなくても「チェックメイト(完全敗北)」にはなっていない状態のこと。
つまり、最悪の状況に見えても、まだ終わりではないというメッセージです。
この考え方は、まさにフランクリン流のレジリエンス(回復力)。
負けそうなときでも、「最後の一手まであきらめない」姿勢が大切だというのです。
■ 現状を嘆くより、「変化を味方にする」
フランクリンは、「状況が悪い」と嘆くよりも、
「状況は変化する」と信じるほうが、人は前向きになれると考えました。
「現在の状況に落胆しない習慣」
「有利な方向に変化することを望む習慣」
この“思考の切り替え”が、フランクリンの哲学の核心です。
たとえ負けていても、
「まだ勝機はあるかもしれない」と思考を働かせる。
この“希望の筋肉”こそが、困難を突破する原動力になるのです。
■ 変化の時代にこそ必要な「粘り強さ」
現代社会は、まさにフランクリンが語った「変化の連続」です。
- 経済も仕事も、昨日の正解が今日には通用しない。
- テクノロジーが新しい価値を生み、古い常識を塗り替える。
- SNSで流行が一晩で変わる。
そんな時代に求められるのは、完璧さよりも粘り強さです。
フランクリンは、勝負の中で“粘る人”の強さを信じていました。
「プレイヤーは、勝つまで、あるいは少なくとも引き分けになるまで、勝負をつづける。」
これはつまり、
「最後まで考えつづける人に、幸運は微笑む」
ということです。
■ フランクリン流・変化に強くなる3つの習慣
- 「まだ何かできる」を口ぐせにする
どんな状況でも、「終わった」と言わずに「次はどう動こう」と考える。 - 変化を恐れず、観察する
環境の変化を敵視せず、むしろ“情報”として利用する。 - 勝てないときは、引き分けを狙う
完璧を求めず、“最悪を避ける”ことも立派な戦略である。
■ 「希望は思考の中に生まれる」
フランクリンが伝えたかったのは、
「楽観的であれ」という単純な励ましではありません。
彼が言う“希望”とは、考えることの中に生まれる希望。
状況を分析し、打開策を探す中で、少しずつ光が見えてくる。
絶望とは、希望が消えた状態ではなく、
「考えるのをやめた状態」だと、フランクリンは知っていたのです。
■ まとめ:「変化する状況の中で、変わらない思考を持て」
ベンジャミン・フランクリンの言葉:
「状況はつねに変化する。だから、落胆せず、望みを失わず、考えつづけるのだ。」
この一節は、単なるチェスの心得ではなく、
生きるための戦略的思考法です。
- 局面が悪くても、打開の一手を探す。
- 勝てなくても、粘り強く引き分けを狙う。
- そして、状況が変わるその瞬間まで、思考を止めない。
フランクリンの言葉を現代風に言えば、
「変化を恐れず、思考を止めない人が、最後に勝つ。」
人生の盤面はいつだって動いています。
だからこそ、今日という一手を、丁寧に──。
