『君はなぜ働くのか』に学ぶ、夢よりも「意味」で動く生き方|やりたいことがなくても人生は動き出す
『君はなぜ働くのか』に学ぶ、夢よりも「意味」で動く生き方
「自分のやりたいことがわからない」
「仕事にやりがいを感じられない」
多くの人が一度は抱くこの悩みに、まっすぐ向き合う本があります。
それが、ベストセラー作家・永松茂久さんの『君はなぜ働くのか』(フォレスト出版)です。
本書は、著者が人生の「師匠」から受ける講義を通して、“働く意味”を問い直す物語。
前作『君は誰と生きるか』の続編として、今度は「働くこと」「生きること」に焦点を当てています。
「やりたいことがわからない」ことは、チャンスである
著者はかつて、3坪のたこ焼き行商から始めたビジネスを成功させ、大繁盛店を築きました。
しかし、順風満帆なはずの人生の中で、ふと気づいたのです。
「自分はこの先、何をしたいのか?」
その迷いを師匠に相談すると、意外な答えが返ってきます。
「やりたいことがわからない? だったら何でもできるじゃないか。おめでとう!」
この言葉にハッとさせられます。
私たちは「夢がない=ダメなこと」と思いがちですが、師匠は真逆のことを言うのです。
夢がなくてもいい。大切なのは、“なぜ”働くのかという「意味」を見出すこと。
夢よりも、「意味」が人を動かす原動力になる――。
それが本書の核心です。
「夢」よりも「なぜ」。人を動かすのは“意味”である
師匠は言います。
「人は『なぜ』がわかれば、自ら動く。」
どんなに大きな夢を掲げても、そこに“意味”がなければ続かない。
逆に、やりたいことがなくても、「自分は誰のために働いているのか」「この仕事にどんな価値があるのか」が見えれば、人は自然とエネルギーが湧いてくる。
人間が本能的に求めているのは、「成功」ではなく「存在意義」なのです。
この考え方は、キャリア迷子になりがちな現代の私たちに強く響きます。
すべての社会人は“商人”である
師匠は続けます。
「社会人ってのは、みんな商人なんだよ。」
この言葉はシンプルながら、本質を突いています。
サラリーマンは、労働力という商品を会社(顧客)に売っている。
主婦(主夫)は、家庭という“共同経営”のパートナー。
つまり、誰もが自分という“お店”を持つ商人です。
その商売を成功させるには、目の前の人を喜ばせることが一番。
「自分のため」より「相手のため」を意識すると、仕事が不思議と楽しくなり、信頼が生まれていきます。
これこそが、働く意味の第一歩なのです。
「好きなことを仕事に」は“結果論”にすぎない
「好きなことを仕事にしよう」という言葉をよく耳にしますが、師匠の見解は少し違います。
「最初から好きなことを仕事にできる人なんて、ほとんどいない。」
むしろ、“今の仕事を好きになる努力”をすべきだといいます。
目の前の仕事を真剣に突き詰めれば、必ずおもしろさが見えてくる。
そうして仕事に好かれるようになると、自然とチャンスが巡ってくるのです。
つまり、「好きなことを仕事に」できるのは、“仕事に好かれる人”になった後。
順序が逆なのです。
「仕事に好かれる努力」――この言葉は、キャリアに悩むすべての社会人の指針になります。
3カ月で人生が変わる。「辞める前に全力でやる」
本書の中でも特に印象的なのが、「3カ月の法則」です。
職場に不満がある人へ、師匠はこうアドバイスします。
「辞めるのはいい。けれど、その前に3カ月だけ、全力で働いてみなさい。」
この“3カ月の集中”によって、仕事が楽しくなり、評価が変わり、環境までもが好転する。
多くの弟子たちが、この法則で人生を変えたといいます。
たった3カ月、されど3カ月。
“全力で向き合う経験”が、働く意味を再び灯すきっかけになるのです。
相手の幸せにフォーカスすると、言葉が伝わる
リーダーシップや人間関係に悩む人への師匠の教えも実践的です。
「伝えるときは、相手が幸せになることだけにフォーカスしなさい。」
私たちはつい、“自分をどう見せるか”に意識を向けてしまいます。
しかし、伝えたい相手が“気持ちよくなる言葉”を選ぶことで、心に届くコミュニケーションが生まれる。
これは、ビジネスにも人間関係にも通じる普遍的な原則です。
魅力とは、「また会いたい」と思わせる力
師匠は“仕事がうまくいく人”の条件をこう定義します。
「魅力のある人になりなさい。魅力とは、また会いたいと思われる力だ。」
魅力のある人は、感情の達人です。
人の感情を察し、相手の気持ちに寄り添うことで、信頼関係を築く。
この“感情の理解力”こそ、真に結果を出す人の武器になります。
まとめ:「夢がなくても、働く意味があれば人生は動く」
『君はなぜ働くのか』は、“働くこと=生きること”を問い直す、やさしくも深い一冊です。
夢がなくても構わない。
大切なのは、「なぜ働くのか」という問いを持ち続けること。
仕事の中に意味を見つけ、誰かの役に立つことで、人生は静かに動き出します。
この本は、そんな“働くことの再定義”を私たちに教えてくれるのです。
仕事に迷ったとき、転職に悩んだとき、あるいは働く意味を見失ったとき。
あなたのデスクの横に置いておきたい一冊です。
