「なぜ、あの人は仕事ができるのか?」を徹底解説|成果を出す人の“仕組み思考”とは?
「なぜ、あの人は仕事ができるのか?」に隠された仕組みの法則
「なぜ、あの人は同じ時間で倍の成果を出せるのか?」
「自分は努力しているのに、結果が出ない…」
そんな疑問に、“仕組み化のプロ”田尻望氏が明快な答えを示します。
本書『なぜ、あの人は仕事ができるのか?』(すばる舎)は、10万部突破の『付加価値のつくりかた』シリーズに続く最新作。
キーエンス出身の著者が、「成果を出す人ほど“仕組み”で動いている」ことを、具体的なステップと共に解き明かします。
成果は「能力」ではなく「仕組み」で決まる
著者は冒頭でこう断言します。
成果が出ないのは、あなたの能力が低いからではない。
成果が出る仕組みの中にいないからだ。
仕事ができる人は、良い仕組みの上で動いている人。
逆に、どれだけ優秀でも、ムダの多い仕組みの中では成果を出せません。
たとえば、営業職で「商談時間を増やしたい」と思っても、報告書や会議が多い環境では難しい。
重要なのは、時間と労力を成果につながる活動に再配分する仕組みを作ることです。
「仕組み化」=「効率化」+「高付加価値化」
田尻氏は、仕組み化を2段階に分けて考えます。
1️⃣ 効率化:時間のムダを減らすこと
2️⃣ 高付加価値化:限られた時間で、より大きな成果を生み出すこと
まずは効率化。
ムダな作業を減らし、余った時間を“利益を生む活動”に振り向けるのが基本です。
そして、次のステップが高付加価値化。
同じ1時間でも「粗利益を最大化する活動」に集中すれば、生産性は指数関数的に上がります。
効率化の3つの基本ルール
仕事を効率化するには、以下の3つが有効です。
①フォーマットの統一
メールや報告書、提案資料など、毎回一から作らず「テンプレート化」する。
形式を揃えるだけで、作業スピードが格段に上がります。
②見える化
ToDoや進捗を一覧化し、やるべきことを“見える”状態に。
たとえば営業リストを整備しておけば、スキマ時間で架電できるなど、機動力が高まります。
③言葉の統一
チームで「売上」「利益」「価値」などの定義を共有する。
言葉のズレをなくすことで、認識違いによる手戻りを防げます。
効率化を進める3ステップ
効率化を進める具体的手順もシンプルです。
ステップ1:仕事を書き出す
1日の業務を分単位で可視化する。
(例)提案書作成・会議・顧客対応・レポートなど。
ステップ2:時間の多い順に並べる
どの作業に最も時間を取られているかを把握。
「成果に直結しない業務」から削減候補を見つけます。
ステップ3:4つの視点で見直す
- やめられないか
- まとめられないか
- 回数を減らせないか
- 自動化できないか
このフレームで考えるだけで、日々のムダが目に見えて減ります。
「高付加価値化」とは、“1時間あたりの粗利益”を最大化すること
田尻氏の定義は明快です。
高付加価値化とは、「時間単位当たりの粗利益を最大化する活動」である。
たとえば、1件30万円の契約を2時間で取る人と、3000万円の契約を10時間で取る人では、商談1時間あたりの価値がまったく違います。
- 30万円 ÷ 2時間=15万円/時間
- 3000万円 ÷ 10時間=300万円/時間
つまり、“単価の高い仕事”を増やすことこそが高付加価値化です。
単に忙しくするのではなく、「粗利益の大きい活動」に時間を投資する発想が大切です。
挑戦と安定を両立する「70:30の法則」
新しい市場や顧客層へのチャレンジにはリスクがつきものです。
そこで著者が勧めるのが、「既存業務70%・挑戦30%」の時間配分。
まず既存業務を効率化して、70%の時間で100%の成果を出す仕組みをつくる。
そのうえで、残りの30%を新しい挑戦に使う。
これなら、失敗を恐れずに“高付加価値な仕事”へステップアップできます。
ChatGPT時代の「仕組み化」
本書が興味深いのは、最新のAIツール活用にも触れている点。
田尻氏は、ChatGPTを業務効率化の一環として積極的に推奨しています。
たとえば:
- 提案書の構成案をChatGPTに生成してもらう
- 報告書の定型文をAIに書かせる
- アイデア出しや顧客リストの分析に活用する
AIは人の代わりではなく、「仕組み化を支えるパートナー」として使うべきだと説きます。
「仕組み化」こそ、すべての仕事の土台
仕事ができる人の秘密は、特別な才能でも根性でもありません。
彼らは“考え方と行動を仕組みに落とし込んでいる”のです。
効率化で時間をつくり、
高付加価値化でその時間を投資する。
このサイクルを回せば、どんな職種でも成果は再現できます。
「仕組み」を変えれば、「自分」も変わる。
それが、田尻望氏の伝えたいメッセージです。
まとめ:今日から始める「仕組み化」の第一歩
- 自分の仕事をすべて書き出す
- ムダを「やめる・まとめる・減らす・自動化する」で整理
- 粗利益を最大化できる仕事に時間を集中する
この3ステップを回すだけで、「仕事ができる人」に一歩近づけます。
本書は営業・事務・企画など、あらゆる職種で応用可能。
そして何より、「再現性のある成果」を得たい人にこそ、読んでほしい一冊です。
