『要領よく成果を出す人は、「これ」しかやらない』が教える“やらない勇気”の仕事術|8割捨てて2割に集中せよ
『要領よく成果を出す人は、「これ」しかやらない』に学ぶ、“やらない勇気”の仕事術
「どれだけ頑張っても終わらない」「成果が上がらない」――
そんな働き方に疲れを感じている人は少なくないでしょう。
塚本亮著『要領よく成果を出す人は、「これ」しかやらない』(PHP研究所)は、
“頑張るほど疲弊する働き方”から抜け出すためのシンプルな原則を教えてくれる一冊です。
著者が提示する答えは意外にもシンプル。
成果を出すには、「やること」より「やらないこと」を決めよ。
「やらないこと」を決める勇気が、成果を生む
スティーブ・ジョブズはこう言いました。
「最も重要な決定とは、何をするかではなく、何をしないかを決めることだ。」
私たちの時間もエネルギーも有限です。
要領のいい人たちは、無限に働こうとせず、“やらない仕事”を意識的に削ることで成果を出しています。
たとえば「自分でやらなくてもいいこと」にまで手を出す人ほど、疲弊しやすい。
逆に、「これは自分の価値を高める仕事か?」と問い、優先順位をつける人は、自然と結果を出せるようになります。
忙しく動くことが“努力”ではありません。
「この仕事をやらなかったらどうなるか?」と一度立ち止まることが、真の効率化の第一歩です。
8割を“さばいて”、2割に全力投下せよ
本書の核心は、**パレートの法則(80:20の法則)**にあります。
全体の成果の80%は、全体の20%の行動から生まれる――。
要領のいい人は、この20%に集中します。
つまり、“頑張りどころ”を見極め、他の8割は「頑張りすぎない」。
たとえば、サッカーのリオネル・メッシは常に全力で走っているわけではありません。
試合の決定的な瞬間のために、余力を残しておく。
仕事も同じで、「ここぞ」という場面に全力を出すための温存戦略が必要です。
常にフルスロットルでは、心も身体ももたない。
だからこそ「力を抜く勇気」が、長く成果を出し続けるための鍵になります。
「完璧主義」は成果を遠ざける
著者は、“戦略的に手を抜く”ことの重要性も説きます。
フェイスブック元COOシェリル・サンドバーグは言いました。
「完璧主義は敵である。」
100点を目指すあまり、時間をかけすぎる。
でも、他人から見ればその100点は「過剰品質」でしかない場合もある。
要領のいい人は、“戦略的な80点”を目指す。
80点で合格できるなら、それ以上の労力は別の価値ある仕事に使う。
完璧よりもスピード。理想よりも再現性。
これが、成果を積み上げる人の共通点です。
苦手は「克服」ではなく「委ねる」
「弱点を克服する」より、「得意を伸ばす」方が何倍も効率的。
要領のいい人は、自分の不得意分野を無理に頑張りません。
たとえば、企画が得意な人が実行まで完璧にこなそうとすれば、時間が足りなくなります。
一方で、実行力の高い仲間に任せれば、全体のスピードが上がる。
大切なのは、「自分の強み」と「他人の強み」を組み合わせる発想です。
個人の限界を突破するのは、「チームの仕組み化」。
苦手を認めて任せることも、立派な成果の出し方です。
自分を誘惑から守る「環境設計」
「集中できない」「ついスマホを見てしまう」――それは意志が弱いからではありません。
最新の心理学研究でも、誘惑を避ける人ほど目標達成率が高いことが分かっています。
つまり、戦うよりも「近づかない」が正解。
通知を切る、スマホを別室に置く、仕事用とプライベート用のアプリを分ける。
要領のいい人は、自分の意志に頼らず、“環境”で集中をデザインしています。
「目的」を見失わない人が最短で成果を出す
多くの人が途中で迷子になるのは、「手段が目的化」するからです。
たとえば、「業務効率化」が目的だったのに、いつの間にか「新しいツール導入」が目的になっている。
これでは本末転倒です。
要領のいい人は、常に自問します。
「なぜ、これをやるのか?」
「この行動は目的にどう貢献しているか?」
目的を明確にすれば、ムダな努力は一気に減ります。
シンプルに考え、目的から逆算する――それが成果を出す最短ルートです。
「因数分解」して考える人は、問題解決が速い
問題を解決できる人とできない人の違いは、「分解思考」があるかどうか。
たとえば「プロジェクトが進まない」ときに、
要領のいい人はこう考えます。
- 計画管理に問題があるのか?
- チームの協力が足りないのか?
- リソース(人・時間・資金)が不足しているのか?
このように「課題を要素に分ける(因数分解する)」ことで、正しい努力ができるようになります。
闇雲に頑張るのではなく、“解決のレバー”を探す思考が大切なのです。
結論:「仕事を減らす努力」が、最も生産的な努力
成果を出す人は、“忙しさ”を誇りません。
彼らが努力しているのは、「仕事を減らすこと」。
- 過去の資料を再利用(リサイクル)する
- 不要なタスクを削除する
- 「やることリスト」で脳の負荷を減らす
仕事を“片づける”のではなく、“価値を生む仕事だけに絞る”。
それが「要領よく成果を出す人」の本質です。
まとめ|「8割を手放し、2割に集中する勇気」を持とう
- 何を「やらないか」を決める
- 80点で進め、完璧を手放す
- 苦手は克服せず、得意な人に任せる
- 目的を見失わない
- 仕事は「減らす」ことで進化する
頑張りすぎるより、“引き算の仕事術”があなたを救います。
『要領よく成果を出す人は、「これ」しかやらない』は、そんな“やらない勇気”を与えてくれる一冊です。
