自己啓発

フランクリン式「自己チェック手帳」の作り方:13の徳を日々実践するための習慣化メソッド

taka

「人は理論だけでは変われない」――そう考えたベンジャミン・フランクリンが、25歳で始めた自己改革プロジェクト。その中心にあったのが、13の徳を“毎日チェックする”手帳メソッドです。
彼は古代ギリシアの哲学者ピュタゴラスの『黄金詩』からヒントを得て、自らの行動を客観的に見つめる仕組みを考案しました。これは今日でいう“セルフモニタリング”や“習慣トラッカー”の原型といえるものです。


■ ピュタゴラス『黄金詩』に学んだ「日々の振り返り」

フランクリンが影響を受けた『黄金詩(Golden Verses)』は、古代ギリシアの哲学的格言集で、人生の規律や倫理を71項目にわたって説いています。
その中に次のような一節があります。

「夜に眠る前に、昼の行いを省みよ。何を為したか、何を怠ったかを吟味せよ。」

フランクリンはこの考えを取り入れ、毎日、自分の行動を“数値化する”方法を考案しました。
つまり、道徳や善悪を「感覚」ではなく「データ」として可視化したのです。
この発想は、まさに18世紀版の「自己分析ツール」でした。


■ 「13の徳」を1冊の手帳で管理する方法

フランクリンは小さなノートを用意し、1ページごとに13の徳を割り当てました。
それぞれのページに次のようなフォーマットを作ります。

  1. 縦に赤線を引き、7列のコラム(曜日)を設定。
     月〜日の7日分の欄をつくります。
  2. 横に赤線を引き、13行に徳目を記入。
     各行の左端には「節制」「沈黙」「規律」などの徳を順に書き入れます。
  3. 実践できなかった日は黒点で記録。
     その日、ある徳を守れなかった場合、対応するマスに黒い点を打ちます。

このシンプルな方法によって、フランクリンは自分の弱点を“目で見て”把握できるようになりました。
黒点が少なければその週は良い成果、点が多ければ反省が必要。
こうして、自分を責めることなく改善に向けた意識を保ち続けたのです。


■ 1週間ごとに「集中テーマ」を変える

フランクリンは13の徳を同時に追うのではなく、週ごとに1つの徳に集中しました。
たとえば、1週目は「節制」、2週目は「沈黙」、3週目は「規律」…という具合です。
13週(約3か月)で1サイクルを終えたら、再び最初の徳に戻る。
1年間でこのサイクルを4回繰り返すことで、継続的にすべての徳を磨く設計になっていました。

これはまさに「フォーカス習慣法」や「PDCAサイクル」の原型といえる方法です。
一度に多くを変えようとせず、1つずつ確実に習慣化する
心理的負担を減らし、成功体験を積み上げる仕組みでした。


■ 「完璧でなくてもよい」という前向きなルール

フランクリンはこの手帳を20年以上使い続けましたが、後年こう振り返っています。

「完全には至らなかったが、この試みによって私は、以前よりずっと良い人間になれた。」

彼は“失敗の数を数える”ことが目的ではなく、自分の成長を見える化することに価値を見出していました。
黒点は「ダメだった証」ではなく、「改善すべき方向を教えてくれるサイン」。
その柔軟な姿勢こそ、長く続けられた理由だったのです。


■ 現代に応用できる「フランクリン式トラッカー」

このメソッドは、現代でもすぐに応用できます。
手帳やアプリを使って、次のようにアレンジしてみましょう。

  1. 自分なりの「徳リスト」をつくる。
     例:早起き、感謝、整理整頓、SNS時間の制限、読書など。
  2. 1日ごとにチェック欄を設ける。
     守れたかどうか○×や色で記録。
  3. 週に1回、振り返りをする。
     黒点(×)が多い日を見て、原因を考え、次週の目標を微調整する。

ポイントは、「完璧を目指さない」ことです。
できなかった日があっても、それを“気づきのチャンス”と捉える。
その繰り返しが、やがて習慣を変え、人格を変えていくのです。


■ 「見える化」が行動を変える

フランクリンが200年以上前に実践したこの手帳法は、今日の心理学でも理にかなっています。
行動科学では「セルフモニタリング効果」と呼ばれ、記録するだけで行動が改善することが実証されています。
自分の行動を客観的に見える形で残すと、脳は自然と修正を始めるのです。

つまり、「記録」は“反省”ではなく、“行動のトリガー”なのです。


■ まとめ:理想を現実に変えるための「チェック習慣」

フランクリンの13の徳は、単なる理念ではなく、行動を変えるための仕組みでした。
そしてその核心が、この「自己チェック手帳」です。

  • 一度にすべてを変えようとせず、1つの徳に集中する。
  • 完璧を求めず、日々の小さな変化を記録する。
  • 自分の行動を可視化し、客観的に振り返る。

これこそが、理想を現実に変える最もシンプルで効果的な方法です。
私たちも今日から、自分なりの“13徳ノート”を作ってみませんか?
ペン1本とノート1冊が、きっと人生を静かに変えていくはずです。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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