自己啓発

フランクリンが語る「完璧を目指さなくていい理由」:努力の軌跡が人を成長させる

taka

ベンジャミン・フランクリンは79歳のとき、こう述べています。

「完璧な状態に達することも、近づくことすらできなかった。
だが、努力してきたおかげで、なにもやらなかったのと比べたら、
はるかに人間も良くなり、幸せになった。」

彼が生涯をかけて実践した「13の徳」のうち、特に「規律」は最後まで苦手だったといいます。
それでも、完璧でなくても努力したこと自体に価値がある――
フランクリンが晩年に到達したこの思想は、現代人にも深い示唆を与えてくれます。


■ 「完璧にできなかった」という正直な告白

フランクリンは、『自伝』の中で「規律」に関して次のように打ち明けています。

「整理整頓ができないという悪い癖を直すことができなかった。
いま79歳になってみると、記憶力が弱くなり、この欠点を痛感している。」

若い頃は優れた記憶力で混乱を補っていた彼も、歳を重ねてからはその限界を感じるようになりました。
つまり、努力しても克服できなかった弱点があったということです。

しかしフランクリンは、この“できなかった事実”を悲観せず、むしろ冷静に受け入れています。
そしてこう結論づけるのです。

「努力したおかげで、なにもやらなかったのと比べたら、
はるかに良い人間になれた。」


■ 完璧を目指すことより、「少しずつ良くなること」

フランクリンは、行動そのものにこそ意味があると考えていました。
彼の思想は、現代の「グロースマインドセット(成長思考)」そのものです。

人は成果が出なくても、努力を続ける過程で確実に変化します。
フランクリンはその例として、手書きの書体練習を挙げています。

「完璧な書体を習得しようとしても、完璧にはならない。
だが、努力したおかげで、読みやすく整った字にはなる。」

これはまさに、「完璧にはなれなくても、努力すれば確実に前より良くなる」という比喩です。
フランクリンの哲学は、“最終的な結果”ではなく“過程の変化”を重視していました。


■ 完璧主義がもたらす落とし穴

フランクリンの考え方は、現代人の「完璧主義」に対する警鐘でもあります。
SNSや評価社会の中で、「完璧でなければ意味がない」と感じてしまう人は多いでしょう。

しかし実際には、完璧主義は行動を止める最大の敵です。
「うまくできないなら始めない」「続かない自分が情けない」――
こうした思考が、挑戦そのものを妨げてしまいます。

フランクリンはこの悪循環を断ち切るように、次のような姿勢を貫きました。

  • できなくても、自分を責めない。
  • 少しでも前に進めば、それで十分。
  • 完璧でなくても、行動した自分を誇る。

彼の人生は、“未完成のまま成長し続ける”という、人間らしい進化の物語でした。


■ 「努力の軌跡」こそが人を磨く

フランクリンは「努力すること自体が幸福をもたらす」と考えていました。
彼にとっての幸福とは、外的な成功や財産ではなく、内面的な充実感

「完璧にはなれなかったが、努力したことで幸せになった。」

この言葉には、「努力は報われる」という単純な希望ではなく、
「努力する姿勢こそが自分を成長させる」という確信が込められています。

心理学でも、継続的な努力(自己改善行動)は幸福感と強い相関があることが分かっています。
人は「自分が少しでも進歩している」と感じたとき、最も満足感を得るのです。

つまり、フランクリンの言う「努力の価値」とは、
結果の達成ではなく、変化を実感することにあったのです。


■ 「不完全な努力」がもたらす成長の実例

私たちの日常でも、このフランクリンの考え方は生きています。

  • ダイエットが続かなくても、健康意識が少し上がった。
  • 勉強を途中でやめても、以前より読む習慣ができた。
  • 片づけが完璧でなくても、必要なものを意識的に選べるようになった。

どれも、完璧には遠くても「前より良い状態」に近づいている。
これこそが、努力の本当の意味です。

フランクリンは、結果がどうであれ「やり続けたこと」に価値を見出しました。
その姿勢は、今の時代にこそ必要な“寛容な自己評価”の原点です。


■ まとめ:努力とは、自分を肯定する行為

フランクリンが79歳で語った「努力の意味」は、成熟した人生観そのものです。

「完璧になれなくても、努力したこと自体に意味がある。」

この言葉は、私たちにこう教えてくれます。
完璧を目指すのではなく、「昨日より少し良くなる」ことを大切にすればいい。
理想に届かなくても、努力を重ねることで人は確実に成長し、幸福に近づける。

人生は、完璧な成果ではなく、不完全な努力の積み重ねでできている。
その一歩一歩の軌跡こそ、あなた自身の“生きた徳”なのです。

スポンサーリンク
ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました