自己啓発

フランクリンの食習慣に学ぶ「食べ過ぎない知恵」:理性で食欲をコントロールする方法

taka

「食べ過ぎないこと。これが健康と長寿の第一条件である。」
――ベンジャミン・フランクリンのこの言葉は、現代の栄養学にも通じる普遍の真理です。

フランクリンは『プア・リチャードの暦』(1742年版)で、
**「健康と長寿の法則」**として、食習慣に関する明確な哲学を語っています。

その中心にあるのが、「食欲を理性でコントロールする」という考え方でした。


■ 頭脳労働者こそ“食べ過ぎに注意”

フランクリンは、まず職業や生活スタイルによって食事の量を変えるべきだと説いています。

「頭脳労働をする人は、食べ過ぎないこと。身体を使って働く人のようには、消化が良くないからだ。」

肉体労働者はエネルギー消費が多く、ある程度食べても消化されやすい。
一方、デスクワーク中心の人は、動きが少ないため消化力も弱い。

つまり、「自分の生活に合った量を知ること」こそが健康の基本なのです。

この考えは、現代の「カロリーバランス」や「ライフスタイル別栄養管理」に通じています。
300年前にすでにフランクリンは、自分の体の使い方に応じて食事を調整することを推奨していたのです。


■ 「食べ過ぎ」は快楽ではなく“自滅”である

フランクリンは、人間が食べ過ぎてしまう最大の原因を明確に指摘します。

「必要なだけ食べるべきで、快楽のために食べるべきではない。
というのは、快楽は限度を知らないからだ。」

ここに、彼の倫理哲学の核心があります。
食欲は本来、生きるために必要な生理的欲求ですが、
それを「快楽」として追い求めると、理性を失い、健康を害してしまう。

現代でいえば、深夜の暴飲暴食やストレスによる過食――。
フランクリンが言う「快楽に支配された食事」は、まさに私たちの日常にも見られる姿です。


■ 「理性で食欲をコントロールする」という生き方

フランクリンは、食欲を抑えるには「我慢」ではなく「理性」を使うべきだと説いています。

「長寿を楽しみ、心身ともにはつらつでいたいなら、
まず第一にすべきことは、食欲を理性でコントロールすることである。」

つまり、「食べたい」衝動を敵視するのではなく、
理性で“ちょうどよいところ”を見極める訓練をすることが重要なのです。

フランクリンは『13の徳』の第一項にも「節制」を掲げています。

「満腹してだるくなるまで食べるな。酔っ払うまで飲むな。」

食事も酒も、理性によって制御されたとき、はじめて本当の快楽となる。
それが彼の“節度の哲学”でした。


■ 「どの程度が適量か」を決めるコツ

フランクリンは、「適量を正確に決めるのはむずかしい」とも認めています。

「けっきょく、必要なだけ食べるべきで、快楽のために食べるべきではない。」

彼の言葉を現代的に読み解くと、次の3つの原則に集約できます。

① 「腹八分目」で止める習慣をつくる

満腹を感じるのは食後15〜20分後。
理性で食事量を決めるなら、「まだ少し食べたい」くらいで止める勇気が必要です。

② 「空腹の理由」を考える

本当にお腹が減っているのか、それとも退屈・ストレス・習慣によるものなのか。
“なぜ食べたいのか”を一瞬立ち止まって考えることが、理性の第一歩です。

③ 「食の質」を意識する

フランクリンは「食べ物の質と量を守ること」と書いています。
これは「量」だけでなく、「何を食べるか」も重要だということ。
精製された砂糖や脂肪ではなく、自然で消化のよいものを選ぶことが、健康につながります。


■ 食べ過ぎは「心」にも悪影響を与える

フランクリンは、過食が単に体の問題ではなく、精神の不調も招くと考えていました。
暴飲暴食をすれば、体が重くなり、眠気や倦怠感に支配され、思考が鈍る。
その結果、理性の働きが弱まり、また食べ過ぎてしまう――。

この悪循環を断ち切るには、まず「心の静けさ」を保つことが大切です。
フランクリンにとって節制とは、心の明晰さを守るための知恵でもありました。

「理性は、欲望の王である。」

この言葉どおり、彼は自らの生活リズムを理性によって統御し、
仕事・学問・社交・健康を高い次元で両立させていました。


■ 現代人こそ実践すべき「フランクリン式・節度の食事法」

私たちの社会は、フランクリンの時代とは比べものにならないほど食が豊かです。
いつでも、どこでも、いくらでも食べられる。
だからこそ、**“食べない勇気”**が問われる時代でもあります。

フランクリンの教えを今に生かすなら、次のように置き換えられます。

  • 食べる前に「本当に必要か?」と問う
  • 満腹より「軽やかさ」を目指す
  • 食後に心地よい集中力が残るかどうかを判断基準にする

これが、フランクリン流「理性で整える食生活」です。


■ まとめ:「食の節度」は、最高の知的行動である

フランクリンが説いた「食べ過ぎ注意」のメッセージは、単なる健康アドバイスではありません。
それは、心と理性の訓練法でもありました。

「快楽は限度を知らない。
だからこそ、理性でそれを導くのだ。」

節度とは、我慢ではなく“知恵の実践”。
理性によって欲望を導くことができる人は、仕事でも学問でも成果を出すことができる。

フランクリンは、そうした**「知的な節制」**こそ、
健康・幸福・成功のすべてを支える基盤だと考えていたのです。

食を制する者は、人生を制する。

今日の食卓でほんのひと口減らすことが、
あなたの理性と健康を磨く第一歩になるかもしれません。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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