自己啓発

フランクリンの警告:「食べ過ぎは命を縮める」——運動量に見合った食事こそ健康の基本

taka

「食事の量と運動の量は、相対的なものである。」
――ベンジャミン・フランクリンが残したこの言葉には、
**“食べることと生きることの本質”**が凝縮されています。

18世紀の時代にあって、彼はすでに「食べすぎが健康を害する最大の原因」であると気づいていました。
とくに『楽しい夢を見る方法』の中で、フランクリンは食べすぎの恐ろしさを、
「眠り」と「死」を対比させながら警告しています。


■ 運動と食事は「セット」で考えよ

フランクリンの主張は実にシンプルです。

「たくさん運動する人は、たくさん食べてかまわない。
しかし、あまり運動しない人は、たくさん食べるべきではない。」

つまり、食事量は消費エネルギーとのバランスで決まるということ。
現代で言えば、摂取カロリーと消費カロリーの関係を見事に言い当てています。

当時はまだカロリーという概念すら存在していませんでした。
それでも、フランクリンは経験的に「活動量が少ないのに食べすぎる人は病気になる」と見抜いていたのです。


■ 「人類は、本来の2倍を食べている」

フランクリンはさらにこう続けます。

「人類は、調理法を発達させてからというもの、本来必要な量の2倍は食べている。」

料理の進化が、人間の食欲を刺激し、必要以上に食べさせてしまう。
これは現代社会にもそのまま当てはまります。

糖質・脂質・塩分・香辛料――人間の脳は“快楽”に反応して食べるようにできています。
しかしフランクリンは、それを**「理性を奪う罠」**とみなしていました。

つまり、食文化の発展と同時に、
人間は“食べすぎる才能”まで手に入れてしまったという皮肉です。


■ 夜食の落とし穴——「快楽の延長線上にある死」

フランクリンの警告のなかでも、特に印象的なのが夜食についてのくだりです。

「夕食をとっていないなら、夜食をとるのも悪くない。
だが、たっぷり夕食をとったあとにさらに盛りだくさんに食べていては、
眠れない夜を過ごすことになるのも当然だ。」

そして、彼は驚くほど鋭い警告を添えます。

「夜食をたっぷり食べたあと、翌朝はベッドで冷たくなっていたという話ほど、
新聞ネタとしてよくあるものはない。」

まるで現代の“生活習慣病による突然死”を予見していたかのようです。

食べ過ぎ→血流や代謝の負担→睡眠中の循環障害→卒中(脳卒中)――
彼はこの因果関係を直感的に理解していました。

フランクリンの時代には、当然ながら「脳卒中」や「心筋梗塞」という医学用語はまだ一般的ではありません。
それでも彼は、食べ過ぎによって夜眠ったまま命を落とす人々を観察し、
その危険性を“新聞ネタになるほど多い”と表現したのです。


■ 「食欲」と「理性」のバランスを取り戻す

フランクリンは食べることを否定していません。
むしろ、食事は人生の喜びであり、健康を維持するための手段だと考えていました。

しかし問題は、理性よりも快楽が勝ってしまうこと

「必要なだけ食べるべきであり、快楽のために食べてはならない。」

この「快楽のために食べるな」という教えは、
彼が『13の徳』の最初に掲げた「節制(Temperance)」にも通じます。

  • 満腹してだるくなるまで食べるな
  • 酔っ払うまで飲むな

この2つの戒律は、健康の基盤でありながら、
人間が最も破りやすい“永遠の課題”でもあるのです。


■ 睡眠と食事の関係:フランクリンの鋭い洞察

『楽しい夢を見る方法』というタイトルのとおり、
この警告文はもともと“睡眠の質”に関する考察の中に出てきます。

フランクリンは「悪夢を見るのは体のせい」だと述べています。
つまり、食べ過ぎが心地よい眠りを妨げると理解していたのです。

「たくさん食べた者は、恐ろしい夢を見て、
眠っている間に卒中を起こして、永遠に目を覚まさないこともある。」

現代医学でも、寝る直前の過食は消化不良・血糖値上昇・自律神経の乱れを引き起こし、
睡眠の質を著しく低下させることが分かっています。
つまりフランクリンの警告は、300年の時を超えて科学的にも裏づけられているのです。


■ フランクリン流「食べ過ぎ防止の3原則」

彼の思想を現代的にまとめると、次の3原則になります。

  1. 運動量と食事量を比例させる
    • 活動が少ない日は、食事を軽めに。
    • 「食事は燃料」という意識を持つ。
  2. 夜の食事は控えめに
    • 夜遅くの食事は睡眠の敵。
    • 「満腹で寝ること=体への負担」と心得る。
  3. 快楽より理性を優先する
    • 「食べたい」より「必要か」で判断。
    • 翌朝の軽やかさを基準にする。

■ まとめ:節度ある食事こそ、最高の健康法

フランクリンが18世紀に伝えた「食べ過ぎる人への警告」は、
現代の栄養学・予防医学・マインドフルネスをすべて先取りしていました。

「理性によって食欲を支配できる者は、
健康・幸福・長寿のすべてを手にするだろう。」

彼にとって節制とは、単なる我慢ではなく、自由の象徴でした。
欲望に支配されず、自分の理性で自分を導く――それが真の自由であり、健康の原点なのです。

最後に、フランクリンのこの一言を現代の私たちへのメッセージとして締めくくりましょう。

「食べ過ぎは眠りを奪い、理性を鈍らせ、命を縮める。」

今日の夜は、ほんのひと口分、箸を置いてみませんか?
それが、あなたの健康と長寿への最初の一歩になるかもしれません。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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