虚しく働くのをやめよう――「コヘレトの言葉4章7～8節」に学ぶ“本当に豊かな生き方”

虚しく働くのをやめよう――「誰のために働くのか」を考える時

コヘレトの言葉（伝道者の書）4章7～8節には、こんな一節があります。

「私はまた、日の下に虚しいことを見た。ひとりの男がいた。彼には息子も兄弟もいない。にもかかわらず、彼は絶え間なく働き、富に飽くことを知らない。彼は言わない――『私は一体誰のために苦労しているのか』と。」（コヘレトの言葉4:7-8）

この言葉は、働く意味を見失った人間の姿を、痛烈に描いています。
現代においても、この男のように“目的を失ったまま働き続けている人”は少なくありません。

1. 「虚しく働く人」の特徴――目的が欠けている

この男の最大の問題は、「働く理由」を考えなくなっていることです。
彼は誰のためでもなく、何のためでもなく、ただ働き続けている。

彼の努力は真面目で立派に見えるかもしれません。
しかし、そこに「他者」や「喜び」がないため、どれだけ稼いでも満たされないのです。

現代社会でも、似たような状況がよく見られます。

• 仕事が生活の中心になり、家族との時間が減っている
• 収入は増えたが、幸福感はむしろ減っている
• 自分の仕事が誰に喜ばれているのか分からない

こうした状態に陥ると、人は次第に**「虚しさ」**を感じ始めます。

2. 働くこと自体は悪くない――問題は“方向”にある

コヘレトの言葉は「働くこと」を否定してはいません。
むしろ、人は働くことで生きがいを見出し、他者と関わり、社会に貢献できる存在です。

問題は、「なぜ働くのか」という動機と方向性が失われていること。

働く理由が「もっと稼ぐため」「他人と比べられないため」になってしまうと、
努力がどれだけ報われても、心の空虚さは埋まりません。

一方で、「誰かの笑顔のため」「自分の使命のため」に働く人は、
どんなに忙しくても満たされた心でいられます。

3. 「誰かのために働く」ことが、人を幸せにする

心理学的にも、「自分以外の誰かのために行動する人」は幸福度が高いと言われています。
ボランティア、教育、子育て、医療、接客──
人と人とのつながりの中に「働く意味」が宿るのです。

聖書はこうした“他者志向の働き方”を繰り返し説いています。
自分の成功や利益を超えて、「誰かを支える」という目的を持つことが、
結果として自分自身の喜びにもつながるのです。

4. 立ち止まる勇気――「何のために働くのか」を問い直そう

現代社会では、忙しさが美徳のように語られます。
「立ち止まること」は怠けや逃避のように見えるかもしれません。

しかし、コヘレトの言葉が示すように、
立ち止まらずに走り続けることのほうが、むしろ危険です。

一度、静かに自分に問いかけてみましょう。

• いまの仕事は、誰かを幸せにしているだろうか？
• 自分は何に喜びを感じて働いているのだろう？
• もし今日が人生の最終日なら、この働き方を選ぶだろうか？

その問いの中に、あなたの本当の目的が隠れています。

5. 働くことを「愛」に変える生き方へ

コヘレトの言葉が示すのは、
「働きすぎをやめろ」という単なる警告ではなく、
**「目的を取り戻せ」**という深いメッセージです。

働くとは、本来「愛の表現」です。
家族を養うため、仲間を支えるため、社会を良くするため――
そうした想いが込められた仕事こそが、人を幸せにします。

一人で黙々と働くよりも、誰かと喜びを分かち合う働き方のほうが、
何倍も価値があるのです。

まとめ：虚しさを感じたら、「誰のために」を思い出そう

• 目的を失った働き方は、どれだけ成功しても満たされない
• 働く理由が「誰かのため」であるとき、心は豊かになる
• 一度立ち止まり、自分の働きの意味を問い直すことが大切
• 「愛をもって働く」ことが、虚しさを希望に変える

コヘレトの言葉4章7～8節は、
忙しさの中で自分を見失いそうな私たちに、静かに語りかけます。

「私は誰のために働いているのか？」

この問いに誠実に向き合うこと。
それが、虚しく働く人生から抜け出し、
**“本当に豊かな働き方”**へと向かう第一歩です。

TAKA

理学療法士/ビール

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理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。