書籍紹介

「頑張らないほど成果が出る」?『エフォートレス思考』で人生と仕事を軽やかに変える方法

taka

「努力こそ美徳」という思い込みを手放す

「努力を惜しまずに頑張る」「苦労した分だけ報われる」──そんな価値観が、いまだ日本社会に根強く残っています。
けれど、本当にそれで成果は出ているでしょうか?

グレッグ・マキューン著『エフォートレス思考』(かんき出版)は、まさにこの“努力信仰”を覆す一冊です。
著者はベストセラー『エッセンシャル思考』で「本当に重要なことに集中せよ」と説きましたが、本書ではさらにその先へ踏み込みます。

つまり、「何をやるか(エッセンシャル思考)」ではなく、「どうやってやるか(エフォートレス思考)」を問うのです。
テーマはシンプル──“がむしゃら”より“しなやか”に成果を出す


Step 1:エフォートレスな精神 ― 「楽をするのは悪くない」

まず第一のステップは、心を軽くすること。
私たちは「楽をしてはいけない」「努力こそ正義」という思い込みに縛られています。

でも、実際の脳の仕組みは“楽な方を選ぶ”ようにできています。
もし苦しい方法ばかり選んでいるなら、それは人間の本能に逆らっているのです。

著者は言います。

「困難な仕事をやり遂げるより、『どうやったらもっと楽にできるか』を考えよう。」

例えば、やりたくない家事を「音楽をかけながらやる」「ゲーム化する」だけで、驚くほどスムーズに進みます。
仕事でも「嫌なタスクを楽しみに変える工夫」を見つけることが、努力を最小化する第一歩です。

さらに重要なのが“休む勇気”。
90分ごとに10分休む「リズム休憩」は、集中力と創造性を高める科学的に証明された方法です。
頑張るよりも、“適切に力を抜く”ことが、結果的に高パフォーマンスにつながります。


Step 2:エフォートレスな行動 ― 「頑張らなくても成果が出る」状態を作る

多くの人が見落とすのが、「努力量=成果量」ではないという事実です。
あるラインを超えると、努力はむしろパフォーマンスを下げます。

著者はこう説きます。

「本当にうまくいっているとき、人は“頑張っていない”状態にある。」

ここで大切なのは「ゴールの明確化」。
終わりが見えないまま頑張ると、無限ループに陥ります。
1日の中でも「今日の完了リスト」を作り、「これだけ終われば満足できる」と定義しましょう。

また、行動を始めるときに“最初の一歩”を明確にしておくことも重要です。
例えば、「本棚を整理したい」なら、まず“メジャーを探す”が最初の一歩。
目の前の1ステップを特定できれば、行動のエネルギーは一気に下がります。

さらに、著者が提唱するのが「手順を限界まで減らす」という発想。
仕事でも家事でも、まず「完了するために必要な最小限のステップ」を見極めましょう。
余計な作業を削るだけで、行動はエフォートレスに流れ始めます。


Step 3:エフォートレスのしくみ化 ― 一度の努力で成果を“自動発生”させる

本書のクライマックスともいえるのが、“仕組み化”の考え方です。

著者は成果を2種類に分類します。

  • 直線的な成果:1回の努力 → 1回の結果
  • 累積的な成果:1回の努力 → 何度も結果が出る

たとえば、毎日手作業で資料をまとめるのは直線的。
一方で、自動化スクリプトやテンプレートを作れば、それ以降は繰り返し成果を得られます。

これは仕事だけでなく、生活全般に応用できます。
たとえば:

  • 「毎晩決まった時間にスマホをナイトモードにする」設定で睡眠の質を改善
  • 「誕生日をカレンダーで自動リマインド」して人間関係のストレスを軽減

小さな自動化の積み重ねが、膨大な精神エネルギーを節約します。

さらに、著者は「問題が起こる前に解決する力」を強調します。
引き出しが毎回引っかかるなら、今すぐ2分かけて修理する。
たった2分の行動で、未来の“毎回30秒のストレス”を永久に消せるのです。

この“未然防止の思考”こそ、エフォートレスな成果を支える土台です。


「頑張らない」は怠けではない

『エフォートレス思考』を読んで強く感じるのは、
“頑張る=正しい”という呪縛から解放されることの大切さです。

著者は言います。

「成功とは、身も心もボロボロになるまで働くことではない。」

本当に賢い努力とは、“少ない力で最大の成果を得る”こと。
そしてそれは、怠けではなく戦略です。


まとめ:人生を軽やかにする「頑張らない戦略」

『エフォートレス思考』は、疲弊した現代人への処方箋。
3つのステップをまとめると──

  1. エフォートレスな精神:思考の clutter(ごみ)を片づけ、心に余裕をつくる
  2. エフォートレスな行動:最小の努力で最大の成果を狙う
  3. エフォートレスのしくみ化:一度の努力で、何度も成果が出る仕組みを設計する

頑張りすぎて燃え尽きそうな人、効率化しても成果が頭打ちな人にこそ読んでほしい。
「楽をすること」は、恥ではなく才能です。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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