『成功への選択』──人生は「何を選ぶか」で決まる。青木仁志が説く、幸福と成功の原理
「人は考えた通りの人間になる」──人生は選択の積み重ね
「人は誰でも、その人が考えている通りの人間になれる」──。
そう聞いて「本当に?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、青木仁志氏の著書『成功への選択』(あさ出版)は、その疑問に明快な答えを与えてくれます。
著者は、国内有数の人材教育企業・アチーブメント株式会社の創業者。
壮絶な生い立ちとコンプレックスを乗り越え、独自の哲学で数多くの経営者やリーダーを育ててきた人物です。
本書のメッセージは一貫しています。
「人生は、選択の結果である。」
私たちの今の現実は、過去の選択の集積。
そして、未来もまた、これからの選択次第でいくらでも変えられる。
そうした“選択の力”を信じ、正しい選択を積み重ねることが、成功への唯一の道だと説いています。
著者の原点──「愛によってしか人は幸せになれない」
青木氏の人生は決して順風満帆ではありません。
両親の離婚、家出、十代での単身上京──。
過酷な環境のなかで生き抜き、トップセールスマンとして成功を収めましたが、心は満たされなかったといいます。
そんな彼が気づいたのは、「お金や地位は幸福の条件ではない」という真理でした。
「人は愛によってのみ幸せになれる。」
その後、彼は「人の役に立つこと」「恩を返すこと」を人生の目的とし、教育事業を通じて人を育てる道を歩み始めます。
本書は、その“気づきと行動の軌跡”をまとめた哲学書であり、実践書でもあります。
選択理論とは何か──幸せは「五つの基本的欲求」を満たすことから
本書の中核をなすのが、アメリカの精神科医ウィリアム・グラッサー博士が提唱した選択理論です。
これは、人間は外からの刺激ではなく、「内にある基本的欲求」を満たすために行動するという考え方。
その欲求とは次の五つです。
- 生存(安心・安全を求める)
- 愛と所属(人とつながり、愛されたい)
- 力(認められ、貢献したい)
- 自由(自分で選び、決めたい)
- 楽しみ(喜びを感じたい)
幸福とは、これら五つの欲求を“バランスよく満たす”こと。
そして、それを実現できるかどうかは、他人ではなく「自分の選択」にかかっているのです。
目的を見失わないための「セルフカウンセリング」
青木氏が提案する実践的メソッドのひとつが、セルフカウンセリングです。
これは、自分の行動や思考を客観的に見つめ、人生の方向性を整えるための習慣。
具体的には次の4ステップで行います。
- 願望を明確にする(自分は何を望んでいるのか)
- 時間・お金の使い方をチェックする(理想と現実のギャップを見つける)
- 自己評価を行う(行動を客観的に振り返る)
- 改善計画を立て、実践する
目的とは変わらない軸であり、目標はそこへ至るための手段。
この区別をつけることで、燃え尽きずに持続的な成長ができると説かれています。
「打たれ強さ」は目的と仲間から生まれる
人は誰しも逆境に直面します。
青木氏は、目的意識と仲間の存在が「打たれ強さ」の源になると語ります。
「家族や仲間のために生きるとき、人は最も強くなる。」
誰かの幸せを願って努力することで、人は驚くほどの力を発揮できる。
“利他”の精神が、困難を乗り越えるエネルギーに変わるのです。
真の豊かさとは「人に与える力」
著者は断言します。
「豊かな人とは、人に与えられる人である。」
経済的な成功よりも、人間的な成熟こそが幸福の条件。
人に好かれ、信頼され、支えられることでこそ、人は豊かになれるのです。
この考えは、彼の経営哲学にも通じています。
社員を“人財”として育て、自立型人材を増やすことが企業の使命であるとし、
「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える経営」を貫いています。
競争ではなく「共創」する組織が強い
青木氏は、社員同士を競わせる組織づくりに否定的です。
「競争は個人を強くしても、組織を弱くする。」
互いに尊重し、助け合うチームこそが長期的に強くなる。
感謝と信頼が循環する環境では、社員一人ひとりが自発的に動き、組織全体が成長していきます。
「強い企業」とは、社員が自立し、自分の価値を信じて働ける会社。
それはまさに“選択理論”の実践形なのです。
まとめ:成功とは「正しい選択の積み重ね」
『成功への選択』は、単なる成功哲学ではありません。
自分の人生を“主体的に生きる”ための実践書です。
- 幸せも不幸も、自分の選択がつくる。
- 欲求を正しく満たす行動を選べば、人生は変わる。
- 目的を見失わず、人に尽くすことで自分が成長する。
成功とは、才能でも運でもなく、「正しい選択を積み重ねる力」。
あなたがどんな状況にいても、「いま、何を選ぶか」で未来は開かれます。
