書籍紹介

『運転者 ─ 未来を変える過去からの使者』──“運”は偶然じゃない。人生を好転させる「上機嫌」と「他者への思いやり」

taka

「運が悪い」と嘆くすべての人へ──運は“貯めて使う”ものだった

人生が思うようにいかず、努力しても報われないと感じたことはありませんか?
そんな私たちの心を静かに癒やしてくれる物語が、喜多川泰著『運転者 ─ 未来を変える過去からの使者』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)です。

主人公・岡田修一は、生命保険の営業マン。完全歩合制という厳しい職場で、契約が減るたびに収入も激減し、家庭でも娘の不登校という問題を抱えています。
心身ともに限界を迎えたある日、彼の前に現れたのが――“運を転じる”ことを仕事とする謎のタクシー運転手・御任瀬(おまかせ)卓志。

偶然乗り込んだタクシーの中から、岡田の人生は少しずつ変わり始めます。


「上機嫌」が運を引き寄せるアンテナになる

運転手の御任瀬が最初に岡田に伝えた教えは、実にシンプルでした。

「運が劇的に変わるとき、人は“上機嫌”でいる。」

不機嫌なとき、人はチャンスのサインを見逃してしまう。
反対に、上機嫌でいれば、幸運のきっかけに敏感に反応できる。

この“上機嫌のアンテナ理論”は、実際の営業や人間関係にも通じます。
どんなに実力があっても、眉間にシワを寄せたままでは人は寄ってきません。
明るい人には情報もチャンスも集まる──その当たり前の真理を、本書は優しい言葉で教えてくれるのです。

岡田が学校面談でイライラしていたとき、そこには新しい契約のチャンスがありました。
しかし、不機嫌でいたことで、その未来を自ら手放してしまった。
運転手は言います。

「不機嫌な人は、人生を変える“場”にいても、それをつまらないと思ってしまう。」

“上機嫌でいること”が、運を味方につける第一歩なのです。


「運」は偶然ではなく、“ポイントカード”のように貯まる

運転手のもう一つの教えが、ユニークな「運ポイントカード理論」。

「運はいい・悪いじゃなく、“貯める”か“使う”かなんです。」

誰かに親切をした、助けた、笑顔を向けた――そうした小さな行動が“運”として貯まっていく。
そして、ある日ふとしたタイミングで、その運が“使われる瞬間”が来る。

「何もしていないのにラッキーなことが起きた」という人は、実は過去に多くの運を貯めてきた人。
一方で、他人に不機嫌をまき散らす人は、貯めた運をどんどん使い果たしてしまう。

運転手は岡田にこう諭します。

「運は“円”ではなく“縁”で支払うものなんですよ。」

つまり、他人の幸せのために使った時間や行動が、巡り巡って自分の未来を照らしていくのです。


「損得」ではなく「面白そう」で動くと人生が変わる

上機嫌を保つ秘訣を問う岡田に、運転手はこう答えます。

「損得ではなく、“面白そう”で動いてみてください。」

私たちはつい、効率や結果ばかりを気にして、「どうせ無駄になる」と行動を止めてしまいます。
しかし、運を呼び込む人は「楽しそう」「面白そう」と感じたことに素直に飛び込みます。

その“興味”が人との出会いを生み、人生のターニングポイントになるのです。
たとえその瞬間には大きな変化を感じなくても、後から振り返れば「そこが始まりだった」と気づく。
人生の好転は、実はそんな小さな“面白そう”から始まります。


「努力は報われないこともある」──でも“命の物語”は続いている

物語の後半、運転手は岡田に“命の連鎖”の話をします。
戦地で亡くなった祖父が「息子に蕎麦を食わせるために死ぬ」と笑ったという逸話。
それは、「努力は報われないように見えても、次の世代の幸運に繋がっている」というメッセージでした。

「人生は、延々と続く“命の物語”の一部。
今の自分が報われなくても、あなたの努力が次の誰かを救う。」

この言葉は、現代の「成果主義」に疲れた心に深く響きます。
“自分の努力は誰かの未来をよくしている”と考えられたら、どんな苦境も意味を持つ。

運を貯めるとは、まさにこの“命のバトン”を次へつなぐことなのです。


まとめ:人生を変えるのは「上機嫌」と「他者への思いやり」

『運転者』が伝えるメッセージは、一言でいえば**「上機嫌で、誰かのために生きよう」**です。

  • 上機嫌は、幸運をキャッチするアンテナ。
  • 損得ではなく「面白そう」で動く。
  • 運は“貯めて使う”もの。
  • 努力はすぐに報われなくても、次の誰かが恩恵を受ける。

この考え方を受け入れると、人生の景色が静かに変わります。
「不運」だと思っていた出来事が、未来への伏線だったことに気づく瞬間がきっと訪れるでしょう。

『運転者』は、落ち込んだ夜にそっと心のハンドルを握り直させてくれる一冊。
あなたの“運”を転じるタクシーが、もうすぐ迎えに来るかもしれません。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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