書籍紹介

『無くせる会社のムダ作業100個まとめてみた』レビュー|その仕事、本当に必要?ムダを減らす実践術

taka
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「ムダ」が多すぎる職場を救う一冊

――『無くせる会社のムダ作業100個まとめてみた』を読んで気づく“見えない浪費”

「この作業、正直ムダじゃない?」
「もっと簡単にできるはずなのに…」

そんな不満を抱きながら働いている人は多いのではないでしょうか。

元山文菜さんの著書『無くせる会社のムダ作業100個まとめてみた』は、そんな“会社の非効率”を100項目にわたって徹底的に洗い出した一冊です。
著者は富士通での業務改善経験を経て、現在はコンサルタントとして多くの企業改革を支援している実践派。現場目線で「これ、ムダじゃない?」を可視化してくれるのが魅力です。


7つのムダカテゴリーでわかる!

職場の「非効率」診断

本書で紹介されるムダは、大きく7つのカテゴリーに分かれています。

  1. 業務のムダ(属人化・非効率な手順)
  2. 管理のムダ(無意味な報告・承認地獄)
  3. 共有のムダ(リマインド・資料共有の非効率)
  4. 処理のムダ(ファイル操作・転記・紙文化)
  5. コミュニケーションのムダ(曖昧な指示・過剰な返信)
  6. 会議のムダ(目的不明・読まれない議事録)
  7. 組織のムダ(曖昧な権限・決断の遅さ)

どれも「あるある」と思わずうなずいてしまう内容ばかり。
本書は単なる批判ではなく、それぞれのムダに対する明確な解決策を提示してくれる点が最大の特徴です。


【1】業務のムダ:「属人化」は組織を壊す

「この仕事は私しかできません」――
一見、頼もしいセリフに聞こえますが、実は組織にとっての“危険信号”です。

属人化が進むと、その人が休むだけで業務が止まり、周囲が振り回されます。
また、仕事のブラックボックス化が進むことで、他のメンバーのモチベーションも低下します。

● 解決策:業務棚卸表で「見える化」する

元山さんは「業務棚卸表」を作ることを提案します。

6つのステップで簡単にまとめられます。

  1. 年間の業務を「大・中・小分類」に分ける
  2. 手順を時系列で整理
  3. 使用ファイル・システムを記載
  4. 全体を俯瞰して分類を調整
  5. 所要時間を明記
  6. 年間の作業時間を算出

これを行うだけで、ムダな重複や非効率が一目で分かります。
属人化を防ぎ、「誰でも回せる仕事」へ仕組み化する力が、現代ビジネスパーソンには求められています。


【2】管理・共有のムダ:「気が利く風メール」は逆効果

「お疲れ様です!会議のリマインドです!Zoomはこちら!」
「承知しました!」の返信が10件並ぶ――。

この“気が利いている風メール”こそ、実はムダの典型です。

メールの嵐で重要な情報が埋もれ、誰も内容を精査しない。
本書では、こうした「善意のムダ」を減らすための具体策も紹介しています。

● 解決策:クラウドとカレンダーを使いこなす

  • 会議はGoogleカレンダーで自動リマインド
  • 資料は共有フォルダのURLを貼るだけ
  • メール添付は原則禁止

これだけで、チーム全体の情報共有が劇的にスムーズになります。
「リマインドメール文化」から脱却することが、**現代の“デジタル時短術”**です。


【3】コミュニケーションのムダ:「なるはや」「いい感じで」は禁止ワード

「なるはやでいい感じに仕上げて」――
こんな指示、あなたの職場にもありませんか?

こうした曖昧な依頼が、“手戻り”という最大のムダを生みます。

● 解決策:依頼時に5W1Hを明確にする

仕事を依頼されたときは、すぐ動く前に確認すること。

  • Why(なぜ):目的は何か
  • Who(誰のために):誰が使うのか
  • What(何を作るのか):成果物の形式は?
  • When(いつまでに):納期を明確に
  • How(どの方法で):進め方の確認

お互いの認識をすり合わせることで、ムダなやり直しが激減します。
「丁寧な確認」は時間の浪費ではなく、最大の効率化です。


【4】情報共有のムダ:「何度も同じ質問」問題をなくす

「料金っていくらでしたっけ?」
「どのファイルでしたっけ?」
――毎日のように繰り返される“同じ質問”。

答えるたびに時間が奪われ、あなたの生産性がどんどん下がっていきます。

● 解決策:FAQ一覧を作る

質問が来たら、その都度FAQに追記。
一覧表にして共有するだけで、**「自分で調べる文化」**が育ちます。

「また聞かれたら更新する」程度のゆるい運用でもOK。
積み重なったFAQは、将来的にマニュアルや教育資料にも活用できます。


【5】会議・組織のムダ:「終わらないアップデート」「読まれない議事録」

メールで資料を送り合い、ファイルが何度も上書きされる「資料カオス」問題。
さらに、誰も読まない議事録、目的のない会議……。

本書ではこうした「職場の7不思議」を痛烈に指摘します。

● 解決策:クラウド編集+期限設定+要点共有

  • ファイルは1つをクラウドで共有
  • 編集期限を明示して締め切る
  • 議事録は“3行まとめ”にする(目的・決定事項・次回までのタスク)

仕事の本質は「成果を出すこと」であり、話すことでも、書くことでもない
この視点を思い出すだけで、驚くほどムダが減っていきます。


「ムダを減らす」は「自由を増やす」

本書を読んで強く感じるのは、「ムダの削減=我慢」ではないということ。
むしろ、本当に大切な仕事に集中できる環境を取り戻すことが目的です。

「効率化」と聞くと冷たい印象を持つかもしれませんが、
元山さんの語る改善は「人を楽にする」ためのもの。
その温かい視点こそ、現場の共感を集める理由です。


■ こんな人におすすめ

  • 仕事のムダにうんざりしている
  • チームの生産性を上げたいマネージャー
  • 業務改善のヒントが欲しい
  • 自分の時間をもっと大切にしたい
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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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