『菜根譚』に学ぶ「人に譲る心」― ゆずり合いが人生を豊かにする理由
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Taka Knowledge Output
「成し遂げたことやくぐり抜けた危険について、人前でしょっちゅう大げさに話すのは避けたまえ。」
これはストア派の哲学者エピクテトスが『提要』に残した言葉です。自分の冒険談を語るのは楽しいかもしれませんが、聞かされる側にとっては退屈で迷惑になりやすい。過去を誇張して物語をつくり、自分を大きく見せることは、結局は独りよがりに過ぎないのです。
現代の思想家ナシーム・タレブは、人が過去の出来事をつなぎ合わせて一貫した物語に仕立ててしまう傾向を「語りの虚構(narrative fallacy)」と呼びました。
この傾向は人間にとって自然なものですが、しばしば誤解や思い込みを生み、私たちを現実から遠ざけてしまいます。
エピクテトスが指摘するように、自分の過去を物語に仕立てて語るのは、話す本人にとっては愉快かもしれません。しかし聞き手にとってはどうでしょうか?
これらは会話を支配し、相手を退屈させます。自分は気持ちよくても、相手は不快感を覚えているかもしれません。
物語をこしらえて生きるのは、過去の幻影に浸ることです。大切なのは「今」という現実に生きること。そして他者とのつながりを大切にすることです。
エピクテトスもタレブも、私たちに「物語をこしらえるな」と教えてくれます。
誇張した物語に逃げ込むのではなく、現実を直視し、他者に耳を傾ける。そこにこそ、誠実で実りある人間関係と、自分らしい生き方があります。
あなたも今日から、過去の物語を語る代わりに「今」を大切にしてみませんか?