「夫を信頼しなさい」──不安なときこそ信じて支える“パートナーシップの力”
夫を信頼しなさい──不安なときこそ信じて支える“パートナーシップの力”
結婚生活の中で、「夫を信じる」ということほど難しい場面はないかもしれません。
仕事の決断、転職、引っ越し、家族の将来──。
先が見えない選択を前に、不安や戸惑いを感じるのは当然のことです。
けれども、夫を信じて支えるという姿勢は、
夫婦の絆を深め、人生を共に歩む力を生み出します。
アブラハムとサラ──「信頼で始まった旅」
聖書の中には、そんな「信頼の関係」を象徴する夫婦が登場します。
それが、ユダヤ民族の始祖・アブラハムとサラです。
「昔、聖なる女たちは、神に望みを置き、自分の夫に従っていました。
サラもアブラハムを主と呼び、従いました。」
(ペテロの第一の手紙 3章5〜6節)
アブラハムは神の導きに従い、「行き先を知らずに」故郷を離れました。
地図もない時代に、すべてを捨てて旅に出る──それは、命がけの決断です。
しかし、その決断を支えたのは、妻サラの信頼でした。
彼女は不安を抱えながらも夫の決意を受け入れ、同じ道を歩むことを選びます。
サラがもし、「そんなの無理よ」と彼を止めていたら、
アブラハムの偉業も、ユダヤ民族の誕生もなかったでしょう。
「信頼」と「服従」は違う
「夫を信頼しなさい」という言葉を聞くと、
“夫に従わなければならない”という重い印象を受けるかもしれません。
けれど、ここで言う「信頼」は、相手の人間性を信じ、尊敬することを意味します。
盲目的に従うことではなく、
「この人は真剣に考えている」「必ずやり遂げる」と信じて見守る姿勢です。
信頼とは、相手の選択に「YES」を言う勇気。
そして、その信頼に応えようとする夫の努力が、
結果的に二人の関係をより強く、美しく育てていくのです。
夫が自信を持てるのは、妻の信頼があるから
男性にとって、妻からの信頼は大きな力になります。
「あなたならできる」と言ってくれる人がいるだけで、
心が前を向き、困難にも立ち向かえるようになるのです。
逆に、どんなに能力があっても、
「どうせ無理でしょ」「また失敗するんじゃない?」という言葉を投げかけられると、
その心は簡単に折れてしまいます。
妻の信頼は、夫の挑戦に“背中を押す風”のようなもの。
信じてもらえることが、男にとって最高の励ましなのです。
不安を受け入れながら「共に歩む」
もちろん、信頼には不安がつきものです。
「本当に大丈夫かな」「もし失敗したらどうしよう」と思うのは自然なこと。
それでも、信頼とは「不安がないこと」ではなく、
不安を抱えながらも、相手と共に歩む選択をすることです。
サラもまた、行き先のわからない旅に不安を感じていたでしょう。
それでも、彼女はアブラハムの背中を見つめながら、静かにこう決めたのかもしれません。
「この人の信じる道を、私も一緒に歩こう」と。
信頼がある関係は、逆境にも強い
夫婦の絆が試されるのは、順調なときではなく、苦しいときです。
意見がすれ違うこともある。
判断を間違うこともある。
それでも、お互いを責め合うのではなく、
「この人を信じてよかった」と思える瞬間を積み重ねていくこと。
それが、関係を長続きさせる最大の秘訣です。
信頼は、時間をかけて育つもの。
そして、一度育った信頼は、嵐のような困難の中でも簡単には折れません。
おわりに──信じる力が、愛を深める
夫婦の関係において、「信じる」という行為は最も美しい愛のかたちです。
それは相手を支配することでも、依存することでもなく、
相手を自由にしながら支える愛。
サラがアブラハムに示したように、
信頼は新しい未来を切り拓く原動力になります。
だからこそ、迷いや不安の中でも、こう言ってあげてください。
「私はあなたを信じています。」
その一言が、夫にとってどんな励ましになるか──
あなたが思う以上に、人生を変える力を持っています。
