自己啓発

新渡戸稲造『修養』に学ぶ——どんなことでも「善用」できる。逆境を力に変える生き方

taka
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「どんなことでも善用することができる」——新渡戸稲造の逆境哲学

新渡戸稲造は『修養』の中でこう語っています。

「物事を善用することは、どんな人にもできることだ。」

この言葉の背後には、新渡戸自身の実体験がありました。
彼は三十五歳のとき、長期療養を余儀なくされる大病にかかります。
そのときの思いを、彼は率直にこう記しています。

「医者からは、その間一切仕事をしてはいけないと言われ、あまりの無念さに、人が寝静まった夜半に一人で枕に涙することがたびたびあった。」

努力家で理想を高く掲げていた新渡戸にとって、
“働けない”という現実は、まさに人生最大の試練でした。


運命を呪うか、受け入れるか——転機となった気づき

最初のうちは、彼もまた「なぜ自分だけがこんな目に」と運命を呪ったといいます。
しかし、ある日、ふと考え方を変えた瞬間が訪れます。

「この機会を善用すれば、健康なときには雑務に忙殺されて勉強できないこともでき、修養もできるのではないか。」

この“気づき”こそが、新渡戸の人生を支える転換点でした。
病気を「妨げ」ではなく、「与えられた時間」として受け止めたのです。
そして、療養中に心を磨き、学問を深める時間に変えていった。

まさに彼が言う**「善用(ぜんよう)」**とは、
「どんな状況でも、それを良い方向へ使う力」のことなのです。


逆境を「糧」に変える力

多くの人は、困難に直面すると「不運だ」「ついていない」と思ってしまいます。
しかし、新渡戸は「困難は人を育てる試験」であると考えました。

彼の思想は、“ポジティブ思考”という表面的な慰めではありません。
むしろ、「状況を変えることができなくても、自分の受け止め方は変えられる」という、
精神の主権を取り戻す力を説いているのです。

人生は思い通りにいかないことの連続です。
けれど、その一つひとつを「善用」できる人こそが、強く、しなやかに生きられるのだと新渡戸は語ります。


「善用」は特別な才能ではない

「物事を善用することは、どんな人にもできることだ。」

この一文は非常に重要です。
新渡戸は、「善用の力」は才能でも運でもなく、誰にでも備わっている心の姿勢だと言っています。

たとえば、

  • 失敗を学びに変える。
  • 批判を自省のきっかけにする。
  • 病気を人生の見直しの機会にする。

これらはすべて“善用”の実践例です。
状況は変わらなくても、自分の「意味づけ」を変えることで、人生の質はまったく違って見えてくるのです。


現代人へのメッセージ——苦難を「無駄にしない」

SNSやメディアで「成功」や「幸福」が強調される現代では、
失敗や挫折を“避けるべきもの”と考える人が増えています。
しかし、新渡戸はむしろ、そこにこそ人生の宝があると教えています。

病気、失恋、転職、離別——。
どんな出来事でも、私たちの成長に必要な意味を持っています。
それを「悪いこと」として片付けず、
“どう使うか”という視点で受け止めることが、人生を前に進める力になるのです。


まとめ:運命を嘆くより、善用せよ

新渡戸稲造の『修養』は、単なる道徳書ではなく、
人生の苦しみを知った人間だからこそ書けた「実践の書」です。

運命を嘆くよりも、
その中で何を学び、どう生かすかを考えよ。

善用とは、どんな状況からも「光」を見いだす力。
それは、病の床で人生を見つめ直した新渡戸自身の生き方そのものです。

どんな出来事も、使い方次第で人生を照らす力になる——
それが、『修養』に込められた普遍のメッセージなのです。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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