自己啓発

信頼されるリーダーの条件──『菜根譚』に学ぶ、公平・穏やか・誠実な統率術

taka

リーダーに必要なのは「人を動かす力」より「人を和ませる力」

『菜根譚』にはこう書かれています。

「リーダーになった人は、発言は公明正大に、態度は公平公正を貫け。
常に心を穏やかに保ち、笑顔で部下に接せよ。
権力や利益に執着する輩には近づくな。
極端な行いで、つまらない者の恨みを買うな。」

この言葉には、**“信頼されるリーダーの本質”**が凝縮されています。
つまり、リーダーに求められるのは「権威」ではなく、「誠実と節度」。

現代の組織でも、肩書きやスキル以上に「人格の安定」がチームの空気を左右します。
菜根譚は、400年前からその真理を指摘していたのです。


一、公明正大な発言・公平公正な態度を貫く

まず菜根譚は、「リーダーの言葉と態度」に厳しく注意を促します。

発言が偏っていたり、態度にえこひいきがあると、
部下はすぐにそれを感じ取り、信頼は一気に崩れます。

たとえば――

  • 特定の部下ばかり評価する
  • 自分の好き嫌いで判断を変える
  • 上司の前では良い顔をし、部下には冷たい

こうした姿勢は一瞬で見抜かれます。

リーダーに最も大切なのは、一貫性。
言葉と態度が一致し、誰に対しても公平である人が、最も強い信頼を得ます。

「正しいことを、誰にでも同じように言えるか」
それが、菜根譚が説く“公明正大”の本質です。


二、心を穏やかに保ち、笑顔で接する

次に菜根譚は、「穏やかな心」を強調します。

リーダーが怒りっぽいと、組織全体が萎縮します。
逆に、リーダーが穏やかで笑顔を絶やさないと、自然と雰囲気が明るくなる。

部下は、上司の“機嫌”に非常に敏感です。
小さな表情の変化やトーンの違いが、安心にも不安にもつながります。

だからこそ、リーダーは「感情の管理者」でなければなりません。

怒りや焦りを抑え、落ち着いて話を聞く。
その姿勢が、「この人の下で働きたい」という安心感を生みます。

笑顔は、最も効果的なマネジメントツール。
それを菜根譚は、静かに伝えています。


三、権力と利益に執着する人に近づかない

菜根譚の三つ目の戒めは、リーダーにとって非常に実践的です。

「権力や利益にばかり執着している輩に近づくな。」

現代でも、地位や名声、金銭的利益ばかりを追い求める人は少なくありません。
しかし、そうした人々は、いざという時に人を裏切り、組織を乱します。

リーダーは、そうした“欲に目がくらんだ人間関係”に巻き込まれないよう注意が必要です。
本当に信頼できる人は、地位ではなく人柄で見極める。

正しい価値観の人とつながることが、正しい方向にチームを導く近道。
菜根譚のこの教えは、現代のビジネス倫理にも通じます。


四、極端な行動を避け、無用な恨みを買わない

最後に菜根譚は、「極端な行動を避けよ」と警告します。

「極端なことをして、つまらない者の恨みを買うな。」

これは、リーダーの「慎重さ」を求める教えです。

たとえば、

  • 断固とした決断を下すときも、相手の立場を考慮する
  • 正しいことを言うときも、言い方を選ぶ
  • 感情的に行動しない

リーダーが極端になると、敵を生みます。
どれほど正しい意見でも、伝え方を誤れば反発を招く。
だからこそ、**「正しいことを、柔らかく伝える力」**が求められます。

リーダーシップとは、強さと穏やかさの両立なのです。


「人としての品格」が、真のリーダーをつくる

菜根譚のこの一節は、単なる管理術ではありません。
それは、“人としてどうあるべきか”という問いです。

  • 公平であること(正しさ)
  • 穏やかであること(安定)
  • 欲に惑わされないこと(節度)
  • 極端に走らないこと(柔軟)

これらを兼ね備えた人こそ、人がついてくるリーダーです。

現代では「カリスマ性」や「成果」が注目されがちですが、
本当に信頼されるリーダーは、「人格」で人を動かします。


まとめ:リーダーとは、人を支える器のこと

『菜根譚』のこの章を現代風に言い換えるなら、こうなります。

「リーダーは、声を張り上げる人ではなく、
周囲を静かに安心させる人であれ。」

公平さで信頼を得て、
穏やかさで心をつなぎ、
誠実さで人を導く。

それが、菜根譚が教える“本物のリーダー像”です。
リーダーシップとは、結局のところ「人間力」そのもの。
そしてその力は、日々の言葉と態度の積み重ねでしか磨かれません。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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