自己啓発

「正しいこと」を貫く勇気——菜根譚に学ぶ、欲望に流されない生き方

taka

人は誰しも、楽な道と正しい道の分かれ道に立たされることがあります。
その瞬間、私たちの選択が、人生の方向を決めると言っても過言ではありません。

中国の古典『菜根譚(さいこんたん)』の中に、次のような教えがあります。

「欲望に絡むことは、たとえそのことが手軽に楽しめるからといって、安易に手を出してはならない。
一度その味を覚えてしまうと、それにおぼれ歯止めがきかなくなってしまう。
これとは逆に、人として正しい行いをすることについては、たとえそれが難しいことであっても、決して尻込みをしてはならない。
一度そこから逃げてしまうと、どんどん道理からはずれた生き方をせざるを得なくなってしまう。」

この一節は、「安易な快楽に流されず、正しいことから逃げない」ことの大切さを説いています。
現代社会でも、誘惑や効率を優先して「まあいいか」と妥協してしまう場面は少なくありません。
しかし、それが積み重なると、自分自身の誠実さを失ってしまうのです。


■ 「楽な道」は、最初は甘く、あとで苦くなる

たとえば仕事で、「少しくらいサボっても誰にもバレない」「このくらい手を抜いても問題ない」と思ったことはありませんか?
最初は些細なことでも、それが習慣になると、自分への信頼が崩れます。

『菜根譚』が指摘するように、欲望や安易さの“味”を覚えると、次第に歯止めがきかなくなるのです。
それは、心の筋力が少しずつ弱っていくようなもの。
短期的には得をしても、長い目で見れば必ず代償を払うことになります。


■ 「正しいこと」は、最初は苦く、あとで甘くなる

一方で、正しい選択というのは、たいてい面倒で手間がかかります。
「勇気を出して断る」「誠実に謝る」「筋を通す」といった行動は、すぐには報われません。
しかし、それを積み重ねていくことで、信頼や尊敬といった“目に見えない財産”が築かれていきます。

正しい行いを選び続けることは、長い人生を歩む上での心の羅針盤になります。
一度逃げてしまうと、再びその道に戻るのは容易ではありません。
だからこそ、『菜根譚』は「正しい行いから逃げるな」と強く戒めているのです。


■ 現代に置き換える3つの実践ヒント

  1. 「誰も見ていないときの自分」に注目する
     本当の誠実さは、見られていない場面で現れます。
     他人の評価ではなく、自分が誇れる選択かどうかを基準にしてみましょう。
  2. 「一度逃げたら、次はもっと逃げやすくなる」と心得る
     最初の妥協が、次の妥協を呼びます。
     その連鎖を断つためには、小さな場面でも“逃げない練習”をしておくことが大切です。
  3. 「正しさ」は他人に見せるものではなく、自分を整えるもの
     人にどう見られるかではなく、自分の心が静かでいられるかどうか。
     それが、長く安定して生きるための基盤になります。

■ 「正しいこと」を選び続ける人が信頼を得る

リーダーシップ論でも、信頼は「一貫した行動」から生まれるといわれます。
たとえ不器用でも、正しいと思うことを貫く人は、やがて周囲から信頼され、支えられるようになります。

逆に、欲望や打算で判断を変える人は、短期的に得をしても長くは続きません。
『菜根譚』の教えは、現代のリーダーや社会人にも通じる、誠実さの哲学なのです。


■ まとめ:逃げないことで、人は強くなる

  • 安易な快楽は、後で自分を縛る
  • 正しい行いは、最初は難しいが、やがて信頼と誇りをもたらす
  • 一度逃げると道を見失う——だからこそ「逃げない勇気」が大切

人生は、毎日が選択の連続です。
小さな「正しい選択」を積み重ねることで、自分の人生が少しずつ整っていく。
『菜根譚』のこの教えは、そんな日々の指針として、静かに私たちを導いてくれます。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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