「幸せは“なる”ものではなく“感じる”もの」——菜根譚に学ぶ、楽しく生きる心の整え方
「幸せになりたい」「不幸にはなりたくない」——。
誰もがそう願って生きています。
しかし、その“願い”が強ければ強いほど、
なぜか心が苦しくなったり、満たされない気持ちに陥ることがあります。
中国の古典『菜根譚(さいこんたん)』は、その理由をこう説いています。
「幸せになりたいと願って幸せになれるものではない。
大切なのは、常に楽しみ喜ぶ気持ちを持って暮らすことである。これこそが幸福を呼び込む秘訣だ。
不幸は避けたいと思っていても避けられるものではない。
大切なのは、イライラして人にあたったり、暴言を吐いたりせず、常に人に思いやりの心を持って接することだ。これが不幸を避ける秘訣だ。」
この言葉は、**「幸せは追うものではなく、育てるもの」**という真理を教えています。
幸福は“外からやってくる”のではなく、日々の心の持ち方から生まれるのです。
■ 「幸せになりたい」と思うほど、幸せは逃げていく
「幸せになりたい」という思いは、一見ポジティブに聞こえます。
しかし、その裏には「今の自分は幸せではない」という前提が隠れています。
だからこそ、『菜根譚』はこう戒めます。
「幸せになりたいと願って幸せになれるものではない。」
幸せは、“探すもの”ではなく、“気づくもの”。
私たちはすでに、たくさんの幸せの中に生きています。
朝、目が覚めること。
ご飯を食べられること。
誰かと笑い合えること。
これらすべてが、小さな幸福です。
それに気づける人こそ、本当に豊かな人なのです。
■ 「楽しみ喜ぶ気持ち」が、幸せを呼び込む
『菜根譚』は次にこう説きます。
「常に楽しみ喜ぶ気持ちを持って暮らすことである。これこそが幸福を呼び込む秘訣だ。」
つまり、幸せは“結果”ではなく、“心の状態”だということ。
どんな状況にあっても、楽しい気持ちを忘れなければ、人生は穏やかに輝き始めます。
これは、心理学でも裏づけられています。
ポジティブな感情を持つと、人は創造性が高まり、人間関係も良くなり、健康面にも良い影響が出ることがわかっています。
「幸せだから笑う」のではなく、
「笑うから幸せになる」——。
まさに、『菜根譚』が説く“楽しみの力”です。
■ 「不幸を避けよう」とするほど、不幸に近づく
『菜根譚』はさらに、幸福の反対側についても触れています。
「不幸は避けたいと思っていても避けられるものではない。」
私たちは、困難や失敗を恐れて生きています。
しかし、どんなに避けようとしても、不安やトラブルは人生の一部。
完全に排除することはできません。
むしろ、「不幸を避けたい」と強く願うほど、
その恐れに心を支配され、現実が苦しくなってしまうのです。
大切なのは、不幸を避けることではなく、
不幸の中でどう心を保つか。
それが次の教えにつながります。
■ 「思いやり」が、不幸を遠ざける力になる
『菜根譚』は続けてこう言います。
「イライラして人にあたったり、暴言を吐いたりせず、常に人に思いやりの心を持って接することだ。これが不幸を避ける秘訣だ。」
不幸は、外からやってくるものだけではありません。
多くの場合、自分の言葉や態度が、
人間関係の中で“悪い流れ”を生み出してしまうのです。
たとえば、
- 不満をぶつけて人を傷つける
- 焦りや怒りで判断を誤る
- 自分の感情を優先して他人を責める
そうした小さな言動の積み重ねが、
やがて自分の周りに“生きづらさ”をつくっていきます。
逆に、思いやりの言葉をかけ、感謝を忘れない人のまわりには、
自然と優しさが集まり、運も人も良い方向へ流れていくのです。
■ 「楽しく暮らす」ための3つの実践法
- 「今日の小さな喜び」を探す
朝のコーヒー、夕焼け、誰かの笑顔。
小さなことに心を向けることで、幸福の感度が上がります。 - 「笑う練習」をする
楽しいことがなくても、微笑むだけで脳がポジティブに切り替わります。
笑顔は、幸せのスイッチです。 - 「ありがとう」を一日三回言う
感謝の言葉は、自分の心を整える魔法。
その瞬間、あなたの中に“喜び”が生まれます。
■ まとめ:幸せは、すでにあなたの中にある
- 幸せは「なるもの」ではなく、「感じるもの」
- 不幸を避けるより、思いやりを忘れない
- 楽しい気持ちが、幸福を引き寄せる
『菜根譚』のこの一節は、シンプルでありながら、
現代人が最も忘れがちな「幸福の原点」を教えてくれます。
幸福とは、外の出来事ではなく、自分の心の在り方。
日々を楽しい気持ちで過ごせる人こそ、
どんな状況でも幸せでいられる人なのです。
今日も一日、小さな喜びを感じながら、
心の中に“穏やかな笑顔”を灯して過ごしてみませんか?
