「軽すぎず、重すぎず」──『菜根譚』に学ぶ、信頼されるリーダーのバランス感覚
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Taka Knowledge Output
ストア派の哲学者エピクテトスは『提要』にこう記しています。
「人を不安にさせるのは出来事そのものではない。出来事に対する判断が不安を生み出すのだ。」
この言葉は、私たちが感じる不安や怒り、混乱の多くが「出来事」そのものからではなく、「解釈」から生まれていることを示しています。
剣豪・宮本武蔵は、物事を見る目を二種類に分けました。
「見の目」で物事をとらえると、感情や先入観が混じります。
例:
こうした解釈は、出来事以上に不安や怒りを膨らませ、心を乱す原因となります。
一方で「観の目」で見ると、出来事はただそこにある「客観的な事実」にすぎません。
ストア派も宮本武蔵も共通して教えているのは、出来事そのものと、それに対する自分の解釈を切り離すことです。
たとえば、雨が降ったという出来事に「最悪だ、予定が台無しだ」と判断すれば気分は沈みます。しかし「草木に恵みを与えている」と捉えれば、不満ではなく感謝の気持ちが湧いてくるかもしれません。
出来事は、ただ起こるだけの客観的な現象です。私たちの心を乱すのは、それに付け加える「判断」なのです。
エピクテトスと宮本武蔵の言葉に従うなら、私たちは出来事を「観の目」で眺め、過剰な意味づけをしないことが、不安や混乱から解放される鍵になります。
出来事をあるがままに見る――それが心を守る最初の一歩なのです。