ローマ皇帝にして哲学者でもあったマルクス・アウレリウスは『自省録』の中でこう述べています。
「話をするときには、語られる言葉に注意し、行動をするときには、その結果生じることに注意せよ。行動においては、その目的をすぐに探し求め、言葉においては、その言わんとすることに耳を澄ませ。」
これはシンプルでありながら、非常に実践的な指針です。言葉や行動を漫然と繰り返すのではなく、その「原因」と「結果」を意識すること。まさに現代の心理療法にも通じる考え方です。
認知行動療法(CBT)とストア派哲学のつながり
現代の心理療法である 認知行動療法(CBT) は、臨床心理学者アルバート・エリスによって広められました。
CBTの核心は、患者自身が「自滅的な思考や行動パターン」に気づき、それをより建設的な方向へ変えていくことにあります。
- ネガティブな思考 → ネガティブな行動 → 後悔や不安
- 建設的な思考 → 前向きな行動 → 成長や安定
マルクス・アウレリウスの言葉は、この因果関係の意識を2000年前から説いていたのです。
因果関係を見極めるための問いかけ
マルクスの指針を日常に活かすためには、次のような問いを自分に投げかけるとよいでしょう。
- この行動はどこから来たのか?
(偏見や思い込みに基づいていないか?) - この思考や行動は生産的か? それとも自滅的か?
(繰り返せば成長につながるか、後悔につながるか?) - 過去の失敗とつながっていないか?
(同じ原因で同じ結果を繰り返していないか?)
ネガティブな行動パターンを断ち切る方法
- 記録する
ネガティブな出来事や自分の反応をノートに書き出す。 - 原因を探す
その行動や感情を引き起こした「思考のクセ」を特定する。 - 結果を振り返る
行動の先に待っていたものが「後悔」だったのか「安堵」だったのかを確認する。 - 代替行動を試す
同じ状況で違う反応をしてみることで、結果の違いを体感する。
まとめ ― 因果を見抜けば人生は変わる
マルクス・アウレリウスの言葉は、認知行動療法の考え方と響き合います。
- 思考が行動を生み
- 行動が結果を生み
- 結果が人生を形づくる
この因果関係を見極められれば、ネガティブな連鎖を断ち切り、よりよい生き方を選ぶことが可能になります。
今日のあなたの行動は、どんな原因から生まれ、どんな結果を導くでしょうか?
その問いを意識するだけで、人生は少しずつ変わり始めるのです。