自己啓発

本来の身体機能を使えば健康になれる|幸田露伴『努力論』に学ぶ、“自然な体の使い方”が健康をつくる理由

taka

健康の鍵は「人間本来の体の使い方」にある

幸田露伴の『努力論』には、単なる精神論だけでなく、
生理的・実践的な健康の知恵が多く語られています。

この第83章「本来の身体機能を使えば健康になれる」は、
まさにその代表的な一章です。

「人間は本来備わった身体機能をうまく使えば、病気になることはない。」

露伴は、健康とは外から与えられるものではなく、
自分の体の中にすでに備わっている“自然の力”を正しく使うことだと説きます。

薬や特別な療法に頼る前に、
まず「人間らしく体を動かし、呼吸し、生きる」こと。
それが健康の原点であると、露伴は力強く語るのです。


筋肉を使わなければ、体も心も衰える

露伴はまず、筋肉についてこう述べます。

「人には筋肉が備わっているのだから、存分に筋肉を使うべきだ。
もし筋肉を使わなければ、筋肉は日に日に衰えて、体も衰弱していく。」

この言葉には、動くことの大切さが凝縮されています。

現代では“運動不足”が多くの病気の原因となっていますが、
露伴はすでに100年以上前にその本質を見抜いていました。

筋肉は、使うことで強くなる。
動かすことで血が巡り、体温が保たれ、免疫が高まる。
逆に動かさなければ、体は鈍り、気力までもが弱ってしまう。

つまり、露伴の言う「筋肉を使う」とは、
体を整えると同時に、精神を鍛えることでもあるのです。


呼吸器を「酷使せず、うまく使う」

露伴は筋肉だけでなく、「呼吸器」にも言及しています。

「人には呼吸器もある。これも酷使せずにうまく使っていくべきだ。」

呼吸は生命の根本。
しかし、現代人の多くは“浅い呼吸”しかできていません。

  • 急ぎすぎる生活で呼吸が浅くなる
  • ストレスで息が詰まる
  • 運動不足で肺を十分に使わない

これらは、露伴が警告する「呼吸器を使わない」状態そのものです。

露伴の言う「うまく使う」とは、
無理に鍛えることではなく、自然で深い呼吸を取り戻すこと
まさに、現代で注目されている“マインドフルネス呼吸法”にも通じます。

「体の諸器官を無理せずにうまく使っていけば、
人間は本来もっている能力を存分に発揮して、健康を維持することができるのだ。」

この一文こそ、露伴の健康哲学の核心です。
健康とは“努力して得るもの”ではなく、
自然の機能を自然に使うことなのです。


無理をせず、怠けず——バランスの哲学

露伴の健康論は「極端を避ける知恵」でもあります。

筋肉も呼吸も、「使いすぎれば壊れる」が、「使わなければ鈍る」。
大切なのは、その**中庸(バランス)**にあります。

現代の健康法は、過剰なダイエットや過激なトレーニングなど、
“やりすぎ”に傾くことが少なくありません。

露伴は、

「無理せず、しかし怠けず」
という自然なリズムを尊びました。

それは、人間の体だけでなく、心や人生そのものにも通じる教えです。


健康とは「自然との調和」

露伴の健康観の背景には、東洋的な自然観があります。
つまり、人間は自然の一部であり、
自然の法則に従って生きるときに最も健康になるという考えです。

  • 太陽の下で体を動かす
  • 季節に合った食事を摂る
  • 夜はしっかり眠る
  • 心配ごとをため込まず、呼吸を整える

これらはどれも特別なことではなく、
“人間が自然に戻る”ための方法です。

露伴の健康法は、現代で言う「ナチュラルライフ」「ウェルビーイング」の原点でもあります。


「身体を使うこと」は「努力すること」に通じる

露伴の『努力論』における“努力”とは、
単に学問や仕事に励むことではありません。

身体を正しく使い、自然と調和しながら生きる努力もまた、
立派な「努力」なのです。

筋肉を使い、呼吸を整え、体を動かすことは、
怠惰と戦う精神的な修行でもあります。

露伴にとって健康とは、

  • 努力を支える“基盤”であり、
  • 精神と身体が一致した“理想的な生の形”でもあったのです。

現代に活かす「露伴式・自然健康法」3つの実践法

露伴の健康哲学を現代的に実践する方法を、3つのステップで紹介します。

  1. 「歩く」ことを生活の中心に
     特別な運動よりも、毎日しっかり歩くこと。
     筋肉を使い、血流を促す最も自然な方法です。
  2. 「深呼吸」で心を整える
     朝と夜に3分だけ深呼吸をする。
     呼吸を整えると、自律神経が安定し、睡眠の質も向上します。
  3. 「使うこと=感謝すること」
     身体を動かすたびに、「生きている」ことを感じる。
     露伴の健康観は、体への敬意と感謝の哲学でもあります。

まとめ:健康は「自然の努力」の上に成り立つ

幸田露伴の「本来の身体機能を使えば健康になれる」は、
医学や理論を超えた自然の摂理に基づく健康論です。

  • 人の体は、使えば強くなる。
  • 呼吸を整えれば、心も整う。
  • 無理せず、怠けず、自然と調和して生きる。

これこそが、露伴が伝えた「健康の努力」です。

現代の私たちが見失いがちな“当たり前の生活リズム”を取り戻すこと。
それが、健康への最も確実な道であり、
露伴が遺した“生きる知恵”そのものなのです。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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