「愛国心だけでは不十分」──エディス・キャベルが遺した“憎しみを超える生き方”
taka
Taka Knowledge Output
マルクス・アウレリウスは『自省録』の中でこう記しました。
「まずは、知恵や自制や正義や勇気が疑いなく善いものであると心に決める。いったんそう思い込めば、『人生には善いものが多すぎて味わい尽くせぬ』という人々の嘆きは聞くに堪えなくなろう」
この言葉が示しているのは、世間で「善いもの」とされているものと、本当に善いものとの違いです。
人々が追い求めてやまないものといえば、富・地位・名声でしょう。
「成功すれば幸せになれる」と信じて、懸命に働く人は今も昔も変わりません。
しかし、哲学者セネカは戯曲の中でこう嘆いています。
「金持ちの心の中を皆に見せられたら! その財産がどれだけの不安と恐れを心中にかき立てていることか」
実際、手に入れた金や地位が、望んでいたものとは違う現実を運んでくることは少なくありません。
「バイヤーズ・リモース(買った後の後悔)」は、物質だけでなく、人生の大きな選択にもついてまわるのです。
それに対して、ストア派が提唱する「善いもの」は極めてシンプルです。
これらは外部の状況に左右されることなく、内面に宿る「徳(Virtue)」として、古代から尊ばれてきました。
富や名声には限りがあり、いつか失われるかもしれません。
一方で、知恵や自制、正義や勇気といった徳は、失うことのない資産です。
しかし、知恵や勇気は身につければ裏切らない。
どんな状況にあっても、それが心を支える拠り所になります。
マルクス・アウレリウスが言うように、本当に善いものは多くありません。
むしろシンプルで、数えるほどしかないのです。
この4つを人生の軸に据えれば、余計な後悔や迷いから解放され、豊かな心をもって生きられるでしょう。