「税金=財源」は誤解?本当の国家財政の仕組みとは
多くの人が悩んでいるので今回はその解決策を一緒に考えていきましょう。
「政府は税金を集めて、そのお金で支出をしている」――私たちが当たり前のように信じてきたこの考え、実は根本的に間違っているかもしれません。今回は「税金は財源ではない」という視点から、国家財政の本質をやさしく解説します。
税金が「財源」ではない理由
私たちはよく、「税収が足りないから社会保障が圧迫される」「増税が必要だ」といった話を耳にします。しかし実際には、政府は税金を使ってから支出しているわけではありません。
たとえば2025年度の予算では、4月から年金や医療などの社会保障支出が始まりますが、その時点ではまだ税金は一円も集まっていませんよね? それでも政府は法律に基づいて支出を行います。
どうしてそんなことが可能なのでしょうか?
答えは簡単です。政府は「国債を発行」して、そのお金で支出をしているのです。つまり、支出の源(=財源)は国債であり、税金ではありません。
「貨幣を発行する政府」という視点
もっとわかりやすくするために、次のような例を考えてみましょう。
ある日、あなたが国王となって新しい島国を築いたとします。王国には人がいて、仕事もできるけれど、通貨はまだ存在していません。そんな状況で、王城を建てるにはどうすればよいでしょうか?
「税金を集めればいい」と思うかもしれませんが、まだ通貨がない以上、徴税などできません。だからまず、あなたは「貨幣を発行」するのです。そしてその貨幣で労働者に賃金を支払い、資材を調達し、王城を建てていきます。
このように、国家にとって「最初に必要なのは貨幣の発行」なのです。税金はあとから使うもの。言い換えれば、政府の支出が先、徴税は後ということです。
歴史が証明する「貨幣=国家の信用」
この考え方は、実は300年以上前の江戸時代にも存在していました。勘定奉行(現在の財務大臣に相当)を務めた荻原重秀は、元禄期に金銀の含有量を減らした「元禄貨幣」を発行し、デフレから日本経済を救いました。
彼はこう言いました――
「瓦礫であっても、それに価値を与えるのは国家の信用である」
つまり、貨幣の本質は「素材」ではなく、「国家の保証」なのです。
税金の本当の役割とは?
では、税金は不要なのかというと、もちろんそうではありません。税には大きく分けて次のような役割があります。
- 格差の是正:高所得者に多く課税することで、所得分配の公平性を保つ
- インフレの抑制:経済が過熱して物価が上がりすぎたとき、貨幣の一部を徴収して需要を抑える
- 通貨の信用維持:政府が「このお金で税を払え」と決めることで、通貨に価値が生まれる
つまり、税金とは「経済をコントロールするための道具」であって、「支出のためのお金を集める手段」ではないということです。
終わりに:税と財源の誤解を解こう
「政府が支出するにはまず税金を集めなければならない」という誤解が広まると、本来必要な投資や支援も「財源がないから」と見送られてしまいます。
私たちが知っておくべきなのは、「国家は通貨を発行できる存在であり、税金はその流通を調整するための手段である」ということです。
この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。
