「暇は最大の敵」──デール・カーネギーとデル・ヒューズに学ぶ“心配を消す最良の方法”
「考えすぎて動けなくなる」──心配性の悪循環
デール・カーネギーの『道は開ける』には、
デル・ヒューズ氏 という公認会計士の実話が紹介されています。
彼はかつて、心配のあまり健康を損ない、
人生で最も暗い時期を経験しました。
「私は軍事訓練の最中に落下し、肋骨を三本折って退役軍人病院に収容された。」
肉体的な怪我もさることながら、
彼を本当に苦しめたのは “心”の問題 でした。
「考える時間」が、心配を増幅させた
入院生活は3か月に及びました。
治療中、彼は何もできずにベッドの上で過ごす時間が増えます。
「主治医から『まったく回復していない』と言われたことが、人生で最大のショックだった。」
活動的だった彼にとって、じっとしていることは拷問のようなものでした。
考える時間が増えるほど、思考はネガティブに傾いていきます。
「ずっとベッドで上を向いて考えていると、ますます心配になり、
このまま身体障害者として余生を送ることになるという不安に襲われた。」
この言葉こそ、心配性の悪循環を端的に表しています。
「考えすぎる → 不安が増す → さらに考える」というループです。
「暇」が不安を育て、「行動」が心を救う
そんなある日、ヒューズ氏は主治医にこう頼みました。
「隣の病棟にある“カントリークラブ”に参加させてほしい。」
そこでは、患者たちがトランプや絵画、彫刻、読書など、
それぞれの趣味を楽しんでいました。
彼もそこに加わり、心理学の本を読み、
手を動かす時間・笑う時間・話す時間を少しずつ増やしていきました。
その結果――
「三か月ほど過ごしたとき、主治医が『驚異的な回復だ』と言ってくれた。」
ヒューズ氏の体調は劇的に改善したのです。
「暇」は最大の敵、「行動」は最良の薬
彼が気づいたのは、単純でありながら深い真理でした。
「ベッドで心配するのをやめて趣味に打ち込んだことが好結果を招いた。」
そう、人は“考える時間”が多いほど不安になるのです。
心理学でも、これは「反芻思考(rumination)」と呼ばれます。
一方で、何かに夢中になっているとき、
脳は“今この瞬間”に集中し、不安を感じにくくなります。
まさに――
「暇は最大の敵、行動は最良の薬」
なのです。
「忙しさ」はストレスではなく、心の防衛装置
私たちは時に「忙しすぎるのは良くない」と言います。
しかし、カーネギーはこう考えていました。
「暇でいることは、最も危険な時間の使い方だ。」
人は暇を持て余すと、
- 過去の失敗を繰り返し思い出す
- 未来の不安を想像する
- まだ起きていない問題を心配する
といった“心のノイズ”に支配されます。
反対に、適度に忙しい人は、
「今やるべきこと」に集中しているため、
不安を感じる隙が少ない。
つまり、忙しさはストレスではなく、心の防衛装置なのです。
ヒューズ氏が教えてくれた3つの回復ステップ
ここで、デル・ヒューズ氏の体験を現代風にまとめた
「心配を減らす3つのステップ」を紹介します。
① 「手を動かす」時間を増やす
考えすぎてしまうときは、頭ではなく手を使いましょう。
掃除・料理・ガーデニング・DIY・絵を描く――
どんなことでもOK。行動が思考のスイッチを切ってくれます。
② 「学び」や「趣味」に没頭する
彼が心理学の本を読んだように、
“知る”ことや“創る”ことは不安を希望に変えます。
人は、興味を持った瞬間にエネルギーを取り戻します。
③ 「人と関わる」時間を意識的につくる
他者と会話したり笑い合ったりする時間は、
孤独や不安を軽減させる最良の特効薬です。
病院の「カントリークラブ」が、まさにその役割を果たしました。
「暇を持て余す」という贅沢が、心を壊す
私たちは「時間があればリラックスできる」と思いがちです。
しかし実際は、何もしない時間ほど心配が膨らみます。
- 仕事が終わった後、ふと不安になる
- 夜、寝る前にマイナス思考が止まらない
- 休暇中なのに気持ちが落ち着かない
それは、暇が“心の隙”をつくるからです。
だからこそ、何かに打ち込むことが、心の健康には欠かせません。
まとめ:「心配」を消したいなら、“暇”を減らそう
デル・ヒューズ氏の言葉は、現代の私たちにも通じます。
💬 「ベッドで心配するのをやめて趣味に打ち込んだことが好結果を招いた。」
心配や不安は、考えても解決しません。
でも、行動すれば自然と小さくなります。
- 暇を“行動”で埋める
- 興味や感動で心を満たす
- 誰かと笑う時間をつくる
それが、心配を忘れ、人生をもう一度楽しむための最良の方法です。
