生理学

オピオイド鎮痛薬(非麻薬)の作用と種類:トラマドール・ブプレノルフィンなどの特徴を整理

オピオイド鎮痛薬(非麻薬)とは?

オピオイド鎮痛薬とは、中枢神経や末梢神経に存在するオピオイド受容体に作用して鎮痛効果を発揮する薬剤です。オピオイド受容体には μ(ミュー)、δ(デルタ)、κ(カッパ) の3種類があり、特に μ受容体が鎮痛作用に強く関与します。

「非麻薬性オピオイド鎮痛薬」とは、モルヒネなどの「医療用麻薬」とは区別され、比較的扱いやすく臨床現場で幅広く使用される薬剤群です。代表的なものに トラマドール、ペンタゾシン、ブプレノルフィン があります。

作用機序

  • オピオイド受容体に作用 → 痛みの伝達を抑制
  • 強い鎮痛効果 を発揮(NSAIDsで十分な効果が得られない中等度以上の痛みに使用)
  • 一部の製剤は 麻酔補助薬 としても使われる

モルヒネなどの強オピオイドに比べると副作用は軽度とされますが、共通した注意点があります。

主な副作用と注意点

  • 消化器症状:吐き気・嘔吐、便秘
  • 精神神経症状:眠気、めまい、頭痛
  • 呼吸抑制:非常に稀だが注意が必要

一般的にはモルヒネなどの強オピオイドより副作用は軽いものの、患者の体質や投与量によって症状が現れる可能性があります。

代表的な薬剤と特徴

トラマドール製剤(トラマール、ワントラム、ツートラム)

  • トラマール:即放性製剤。OD錠(口腔内崩壊錠)、注射剤あり。副作用は比較的少ない。
  • ワントラム:徐放性製剤、1日1回服用。服薬回数を減らせる。
  • ツートラム:徐放性製剤、1日2回服用。持続的な鎮痛効果を期待。

トラムセット配合錠

  • トラマドール+アセトアミノフェンの合剤
  • 慢性疼痛や術後疼痛に使用
  • 成分量:トラマドール37.5mg、アセトアミノフェン325mg

ブプレノルフィン製剤(レペタン、ノルスパン)

  • レペタン:坐剤・注射剤。強い鎮痛効果。
  • ノルスパン:外用貼付剤(テープ剤)。7日ごとに貼り替え。持続的な疼痛管理が可能。

ペンタゾシン製剤(ソセゴン)

  • 錠剤・注射剤あり
  • 注射剤は 麻酔補助薬 としても利用
  • 鎮痛効果は強いが、めまいや吐き気などに注意

リハビリ臨床における意義

理学療法士や作業療法士にとって、非麻薬性オピオイド鎮痛薬の理解は以下の観点で重要です。

  1. 疼痛コントロールによる運動療法の促進
    NSAIDsで不十分な場合に使用され、痛みが和らぐことでリハビリ実施が容易になる。
  2. 副作用による影響
    眠気やめまいにより転倒リスクが上がる可能性があるため、安全管理が求められる。
  3. 薬剤選択の背景理解
    長期疼痛管理ではノルスパンのような貼付剤が使われることもあり、薬の特性を理解しておくと患者指導に役立つ。

まとめ

オピオイド鎮痛薬(非麻薬)は、中等度以上の疼痛に使用される重要な薬剤です。トラマドール、ブプレノルフィン、ペンタゾシンなど、種類によって作用時間や剤形が異なり、臨床での使い分けがなされています。副作用は強オピオイドに比べ軽度ですが、眠気や便秘、まれに呼吸抑制などに注意が必要です。リハビリ臨床においても患者の全身状態や転倒リスクを考慮するために、これらの薬の理解は欠かせません。

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理学療法士TAKAが自分の臨床成果を少しでも高めるために、リハビリ・運動学・生理学・物理療法について学んだ内容を発信。合わせて趣味の読書や自己啓発等の内容の学びも自己満で発信するためのブログです。