「目が見えること」は奇跡|ボーグヒルド・ダール博士に学ぶ“日常の中の感動を取り戻す方法”
「目が見えること」は、当たり前ではない
私たちは毎日、目を開けて世界を見ています。
朝の光、空の青さ、人の笑顔、食卓の色彩。
けれど、それがどれほど奇跡的なことかを意識することは、ほとんどありません。
デール・カーネギーの『道は開ける』には、
その「当たり前」の尊さを思い出させてくれる
ある女性学者の物語が紹介されています。
半世紀ものあいだ、ほとんど見えなかった女性
その女性の名は、ボーグヒルド・ダール博士。
彼女は長い間、ほとんど視力を失った状態で生きてきました。
片目がかろうじて見える程度で、
本を読むときは目をこらしてようやく文字を追うことができたといいます。
それでも彼女は同情されることを拒み、
勉学に励んで コロンビア大学で文学修士号を取得。
のちに複数の大学で教鞭をとりながら、
常に心のどこかで「完全に失明する恐れ」と向き合っていました。
奇跡のような回復と、「見える喜び」
ある日、ダール博士はメイヨー・クリニックで手術を受けます。
そして起こったのは、まさに奇跡でした。
彼女の目が、見えるようになったのです。
突如として、彼女の前に「光の世界」が戻ってきました。
それまで灰色だった人生が、一瞬にして色を取り戻したのです。
彼女はこう語っています。
「キッチンで皿を洗っていると、
石鹸の泡が小さな虹に見えたのです。
それは美しくて、私は皿を洗いながら神に感謝しました。」
それまで“退屈な家事”だった皿洗いが、
感動と幸福の時間に変わった瞬間でした。
「当たり前の中にある奇跡」に気づく
私たちは、目が見えるのが当然だと思っています。
しかしダール博士のように、
その「当然」が失われてはじめて、世界の美しさを知ることになります。
- 朝日が差し込む窓の光
- 花の色、子どもの笑顔、街の風景
- 食器のきらめきや、夜空の星の輝き
これらは、誰もがすぐに見られる“奇跡”です。
それを見ているのに、私たちは感動を忘れてしまっている。
カーネギーはこのエピソードを通して、
**「日常を新しい目で見ることの大切さ」**を伝えています。
「感謝の視点」を取り戻す3つの習慣
ダール博士のように、
毎日を“奇跡のように感じる心”を育てる方法を3つ紹介します。
① 「目に映るもの」をひとつ選んで感謝する
朝の光、コーヒーの湯気、花の色。
どんな小さなことでも、「これは美しい」と意識する習慣を持ちましょう。
② 「失われたら困るもの」を思い浮かべる
視力、聴覚、家族、住まい——
それらがもし一日だけなくなったら?
想像するだけで、今のありがたさが見えてきます。
③ 「退屈」を“感動”に変える視点を持つ
皿洗い、掃除、通勤——
どんな作業にも“美しさ”があります。
光、音、色、リズムを感じると、それが瞑想のような癒しに変わります。
「感謝」は心を満たす最高の薬
ダール博士が感じた「石鹸の泡の虹」は、
単なる光の反射ではありません。
それは、**感謝の心が見せた“幸福の色”**です。
私たちはつい、「もっと」「まだ足りない」と思いがちですが、
実はもう、たくさんの喜びに囲まれて生きています。
感謝の視点を取り戻すだけで、
世界は驚くほど輝いて見えるようになります。
まとめ:「見える」という奇跡に気づこう
- 見えること、聞こえること、感じることは当たり前ではない
- 失ってからではなく、「今」あることに感謝する
- 感謝の心が、何気ない日常を“感動の瞬間”に変える
デール・カーネギーが伝えたかったのは、
**「幸福は探すものではなく、気づくもの」**だということです。
今日、あなたの目に映る景色を、
いつもより少しだけ丁寧に見てみてください。
その中に、
ボーグヒルド・ダール博士が見た“虹色の泡”のような、
小さな奇跡がきっと見つかるはずです。
