「消費税増税×法人税減税」は日本国民に最悪の組み合わせだった?〜株主資本主義がもたらした歪み〜
多くの人が悩んでいるので今回はその解決策を探るべく、「消費税増税と法人税減税の組み合わせが、なぜ日本国民にとって不利なのか」について詳しく見ていきましょう。
1990年代、アメリカから「株主資本主義」が日本に入り込み、特に上場企業の経営方針に強い影響を及ぼしました。株主資本主義とは、企業が何よりも最終利益(純利益)の最大化を目指す思想であり、その利益は配当金や自社株買いに回されます。そしてこの流れは、企業だけでなく「政策」にも大きく影響しました。
代表的なのが、「消費税の増税」と「法人税の減税」をセットで進める政策です。事実、消費税が上がるたびに、法人税率は引き下げられてきました。一般的には「法人税減税による税収減を、消費税で補っている」とされますが、それ以上に重要なのが、輸出企業にとって「輸出戻し税(消費税還付)」が増えるという点です。
つまり、消費税が増税されると、企業の利益は二重の意味で増える構造になっているのです。その結果として、株主への配当や自社株買いが急増しました。
実際、日本の大企業は1990年以降、売上高や人件費、設備投資(ソフトウェア除く)はほとんど横ばいのままです。ところが、経常利益は約3倍、配当金に至っては約9倍に膨れ上がっています。企業が利益を出しても、それは労働者や社会に還元されていないのです。
では、このような利益の源泉はどこにあるのか?
答えは、「コスト削減」です。売上が伸びていない中で利益が増えているということは、原価や人件費、減価償却費(=投資)を削減しているということ。こうして生まれた利益は、株主への還元に使われています。
さらに拍車をかけたのが、1997年に導入された「ストックオプション制度」です。これは、特定の株式を一定価格で購入できる権利であり、株価が上がれば経営者自身が巨額の利益を得ることができます。つまり、経営者までもが「株価のために経営する」ようになったのです。
こうして、企業の目的は「社会のため」「従業員のため」ではなく、「株主の利益最大化」へと変質していきました。株主にしても、企業を所有している意識などなく、より大きなキャピタルゲイン(株の売却益)を求めて投資しているに過ぎません。
結果として、日米欧の企業では純利益を「自社株買い」に回す動きが常態化しました。つまり、株主と経営者の利害が一致してしまったのです。
このような構造が続く限り、日本の経済は健全な成長から遠ざかり、国民の実質所得も増えにくくなります。だからこそ、「消費税増税と法人税減税のセット」は、今こそ見直すべき政策と言えるでしょう。
この情報が皆さんのお役に立てば幸いです。
