自己啓発

『投資が止まった国・日本――実質成長を奪った30年の教訓』

taka

経済成長の本質とは

経済成長とは、単にお金の流れが増えることではない。マクロ経済学の定義で言えば、実質GDPの増加を指す。名目GDPが上がっても、物価上昇による数字上の膨張であれば、豊かさは増していない。
例えば、土木作業員が1日1万円の報酬で働いていたとする。物価が10%上がり、報酬も1万1千円になったとしても、実質的な生活水準は変わらない。名目値が上がっても、物価上昇分を差し引けば、経済の実体は変わらないのである。

生産性の向上が豊かさを生む

では、どうすれば実質的に成長できるのか。それは「生産量」を増やすことだ。
1人の作業量が1から2、3へと増えれば、生産量が上がり、GDPもそれに比例して成長する。これを実現するのが「投資」である。
機械化や自動化によって、生産性――つまり1人当たりの生産能力を高める。ツルハシで掘っていた現場にブルドーザーを導入すれば、作業効率は数十倍に跳ね上がる。その分、社会全体の実質所得も拡大していく。これこそが本来の経済成長の姿である。

投資が止まった日本

ところが、日本は1996年をピークに投資を減らしてきた。
当時の実質投資総額は159兆円。リーマンショック後の2010年には114兆円にまで落ち込み、2024年になっても実質ベースでは140兆円に届いていない。
もし1996年の水準を維持していれば、2025年までの累計投資額は4607兆円に達していた。だが、実際は3968兆円。差は実に640兆円――GDP1年分に匹敵する投資が「行われなかった」のである。
これが、「失われた30年」の真の原因だといえる。

需要不足が投資を阻んだ

民間企業が投資を控えた理由は明確だ。デフレによる総需要不足である。
市場に需要がなければ、設備を増やしても売れない。だから企業は投資をしない。実質賃金が下がる中で、国民も住宅投資に踏み出せない。非正規雇用の増加でローンも組めず、家庭の設備投資も停滞する。
こうして「需要がないから投資しない」「投資しないから需要が生まれない」という悪循環が続いてきた。

政府の役割と再生への道

本来、この循環を断ち切るのは政府の役割である。
公共投資を拡大し、需要を創出することで、民間投資を呼び込む。それが経済成長の起点となる。
だが、政府はむしろ公共投資を削減してしまった。その結果が、長期停滞と実質成長の喪失である。
今こそ、抽象的な議論ではなく、具体的な行動が求められている。日本経済を再び成長軌道に乗せる鍵は、シンプルに「投資の拡大」である。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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