エピクテトスは『語録』の中で次のように述べています。
「善はどこにある? われわれの理性的な判断の中に。悪はどこにある? やはり、理性的な判断の中に。」
つまり、善や悪は外の世界にあるのではなく、自分の判断の中にあるということです。
外部の出来事そのものは善でも悪でもなく、それをどう捉え、どう反応するかが本質なのです。
判断に迷ったときのストア派的視点
私たちは日々の生活や仕事で、大小さまざまな選択を迫られます。
- この決断は正しいのか?
- この行動は自分にとって善か悪か?
- 結果が失敗したらどうしよう?
こうした迷いや不安に直面したとき、エピクテトスの言葉は力強い指針となります。
正しい行いとは、常に理性的な判断から生まれる。
それが成功するかどうかは関係ありません。大事なのは「理性的に正しい選択をしたかどうか」なのです。
成功や失敗よりも「判断の質」
多くの人は結果に一喜一憂します。成功すれば正しい選択、失敗すれば誤った選択だと考えがちです。
しかし、ストア派の哲学は違います。
- 成功しても、判断が不正直であれば悪
- 失敗しても、判断が誠実であれば善
本当の価値は「どんな結果になったか」ではなく、「どんな判断を下したか」にあります。
自分の判断を磨く3つの実践法
では、理性的な判断を鍛えるために、私たちは何をすればよいのでしょうか?
1. 感情に流されず一呼吸置く
怒りや不安に支配されたときの判断は誤りやすい。深呼吸し、冷静さを取り戻してから考えましょう。
2. 自分の価値観を明確にする
「何を善とし、何を悪とするのか」が自分の中で曖昧だと迷いが増えます。普段から価値観を意識することで、判断の軸が定まります。
3. 結果ではなく選択を振り返る
一日の終わりに、「今日の判断は理性的だったか?」と自問することが、判断力を鍛えるトレーニングになります。
まとめ:善悪の基準は自分の内にある
- 外部の出来事は善でも悪でもない
- 善悪を決めるのは自分の理性的な判断
- 成功や失敗よりも「正しい選択をしたか」が重要
エピクテトスが伝えるのは、結果に左右されず、自分の判断を信じよということです。
今日一日の中で迷ったら、こう自問してみましょう。
「この判断は理性的で正しいだろうか?」
その問いかけこそ、あなたをよりよい行動へと導いてくれるはずです。