攻撃的な人にどう向き合う?ビジネス書100冊から見えた“戦うべきか否か”問題の迷宮
「戦うべきか、戦わざるべきか」という永遠のテーマ
人生では、ときどき攻撃的な人が現れる。
理不尽な言い方をしてくる人、きつい言葉で威圧してくる人、マウントを取りにくる人──そのたびに「どう対処するのが正解なのか」と悩んでしまう。
ビジネス書100冊を読み比べると、このテーマは想像以上に複雑だった。
「戦うな」と書く本もあれば、「戦え」と書く本もある。さらにその中でも教えが真っ二つに割れている。本当に何を信じればいいのか分からなくなるほどだ。
ここでは、そんな“教訓迷宮”に迷い込んだときに役立つ視点を整理していく。
まずは「戦え」と主張する側から見てみよう
『賢く「言い返す」技術』では、次のように断言されている。
攻撃に対して、無抵抗でいてはいけない。
一方的に言われっぱなしでいると、相手がますます付け上がる。だからこそ、自分の立場を守るためには適度な反撃が必要だという考え方である。
特に印象的だったのは、「売り言葉に買い言葉を使ってもいい」という教えだ。
例えば、
「自分で調べろよ」
と言われたら、
「わからないから聞いているんですけど」
と返せば良いらしい。
読んでいて思わず「本当に大丈夫?」と言いたくなるが、著者は堂々と推奨している。確かに、自分を守るために毅然とした態度が必要な場面もある。そういう文脈を想定しているのだろう。
しかし、同じ“戦え派”の中でも矛盾が発生する
もう一冊の『ちょっとだけ・こっそり・素早く「言い返す」技術』では、まったく逆の考えが紹介されている。
「売り言葉に買い言葉」は火に油を注ぐだけ
やっても得るものはない
同じく“言い返しテクニック”を扱う本なのに、「売り言葉に買い言葉推奨」と「売り言葉に買い言葉禁止」が真逆に並ぶ。さらにどちらも似たようなタイトルで出版されているのが混乱に拍車をかけている。
ここから導き出されるのが「ビジネス書第1法則」。
よく似たタイトルのビジネス書には真逆のことが書いてある。
タイトルが似るということは、扱うテーマが近いということであり、差別化のために逆方向へ極端な主張が生まれるのだろう。
そもそも「戦うか戦わないか」以外のアプローチを取る本もある
攻撃的な人と向き合うスタンスは本によって大きく違う。
例えば前章で紹介したように「うかつでした!」「ありがとうございました」で話を切るという“戦わない型”もある。
しかしこの“戦わない型”と“戦う型”はそもそも価値観の根本が違うため、互いに絶対に交わらない。
つまり、
- 戦え
- 戦うな
- 売り言葉に買い言葉を返せ
- 売り言葉に買い言葉は禁止
どれも別の論理で書かれているため、同じ土俵で比較しても答えは出ない。
正解がない理由がわかってくる。
そして極めつけはホリエモン流
ビジネス書の中には、さらに突き抜けた主張もある。
堀江貴文さんの『多動力』では、こう書かれている。
僕はおかしなヤツを排除するため、定期的にキレる
「つい怒ってしまう」ではなく、「定期的にキレる」。これはもう哲学というかスタイルと言うしかない。しかも相手は月1万円を払ってくれているオンラインサロンのメンバーだというのだから驚きだ。
実際にサロン内でのやり取りを見たことがあるが、質問した学生が容赦なく叱られていた。
ここまで徹底されると、むしろブレない姿勢に感心してしまうほどだ。
結局どうすればいいのか?
この混沌を整理すると、ひとつだけ明確になることがある。
「攻撃的な人への対応」は、人・環境・関係性によって全く変わる。
大きく分ければ3つの選択肢がある。
- 戦わないで終わらせる
→関係性を維持したい、摩擦を避けたい場合 - 戦って自分の立場を守る
→不当な攻撃から距離を置きたい、自分を安売りしたくない場合 - スタイルとして怒る(ホリエモン型)
→周囲に迎合しない強烈な自己ブランディングを持つ場合
どれが“正しい”のではなく、
どれが自分の価値観や状況に合っているかが重要なのだ。
教訓迷宮に入り込んだときのヒント
ビジネス書の主張は極端なものも多い。
だが、それを“処方箋”としてではなく、“選択肢”として読むと役に立つ。
- 攻撃されたら引くのが楽な人もいる
- 反撃しないと精神的に追い詰められる人もいる
- 圧倒的に強い態度を貫くことで安定する人もいる
大切なのは、「自分にとって自然で、ストレスの少ない対応」を見つけることだ。
