ビジネス書100冊で判明した「メモの正体」──世界を動かす? 取るフリでOK? 最大のカオス領域だった
メモは「世界を動かす」らしい
ビジネス書100冊を読むと、どの本にもほぼ必ず登場するテーマがある。
そう、「メモ」だ。
「メモを取りましょう」なんて1冊も読まなくてもわかる。
しかし、ビジネス書界隈のメモ推しは我々が想像している5倍どころか、10倍は激しい。
その象徴が『メモの魔力』である。
人を動かし、そして人生を、世界を大きく動かします。
こんなことを書いてある。
あなたは今、世界を動かしている実感があるだろうか?
僕にはない。
つまり、世界が動いていない原因はひとつ──あなたがメモを取っていないからである。
メモの効能①「熱心さをアピールできる」
意外にも、多くの本が強調していたメリットはこれだ。
- メモを取る → 「熱心だな」「好印象だな」と思われる
つまり、
メモの中身より“メモを取っている姿勢”が重要
ということらしい。
これは複数の本が同様に書いていて、特に「気遣い系」の本は必ずこう言う。
メモを取ることで、相手に気に入られる
……なんともセコい。
世界を動かすどころか、上司を動かすだけのメモだ。
さらに驚くべきことが書かれた本もある。
メモの効能② 「取らなくてもいい(フリでOK)」
『超雑談力』にはこうある。
本当にメモを取ってもいいし、取るフリでもかまいません
もう無茶苦茶だ。
メモを取るフリで印象操作ができるらしい。
世界を動かすメモはどこへいったんだ。
これでは“メモの魔力”ではなく、メモの小細工である。
メモの効能③ 「すぐ忘れるから、とにかく書け」
一般的なメモ術といえば、
- 忘れないためにメモしよう
- 情報を定着させるためにメモしよう
という話だ。
これも多くの本に書かれていた。
しかし、ビジネス書はここからが異常にエスカレートする。
『東大読書』では、こう言われる。
表紙を眺めた時点で付箋にメモしろ
表紙から得られるヒントを忘れるからだ
……表紙?
まだページを開いてすらいない段階でメモ?
僕は自分の記憶力にそこそこ自信があるので、表紙の情報くらいは覚えていられる。
だが、著者によればそれは過信で、表紙の文字情報すらも付箋に残さねばならないらしい。
皆さんはどうだろう?
今読んでいる本の表紙をちゃんと付箋でメモしているだろうか?
……していない?
だから人生が変わらないのだ、と東大読書は言う。
正直、表紙を読んで何をメモすればいいのか僕もわからないが……。
メモ術はなぜここまでカオスなのか
100冊読んで気づいたのは、
メモ術は著者の思想によって解釈がめちゃくちゃ変わる
ということだった。
- 「世界を動かす」と主張するメモ
- 「印象操作のためだけのメモ」
- 「取るフリでOK」のメモ
- 「表紙からメモしないとダメ」という超早期メモ
共通点はほぼない。
ただし、ひとつだけ確かなことがある。
ビジネス書は“メモをしない人間”をとにかく信用していない。
どの本も必ず「メモしろ」と言う。
理由は違っても、「メモを取る人=プロ意識がある人」という空気が圧倒的に強い。
つまり、正しいメモ術がどれかはわからないが、
「メモを取る姿勢そのもの」は成功法則として扱われているのだ。
結論:世界を動かす必要はないけど、メモはしたほうが良い
ビジネス書100冊から導き出した最終結論はこれ。
メモは、世界は動かさないが、あなたの評価は確実に動かす。
その後は好きにすればいい。
・本気で世界を変えたいなら『メモの魔力』方式
・印象を上げたいだけなら「メモのフリ」で十分
・記憶を強化したいなら普通にメモすればOK
・表紙までメモするかどうかはあなた次第
ただし、メモしないよりはした方が、人生はちょっとだけ動く。
まとめ
・メモは人を動かし、人生を動かし、世界を動かす(らしい)
・ただし実際には「メモのフリ」で十分という説もある
・表紙を見た瞬間から付箋にメモするという過激派も存在
・共通点は「メモを取る姿勢は好印象」という事実のみ
