「お金はどこから生まれるのか？ 現代通貨の真実」

お金は本当に「あるもの」なのか

私たちは普段、お金は誰かが稼いで蓄えたものが世の中を巡っているだけだと思い込みがちである。しかし、「ないところからお金が生まれる」と聞くと、多くの人は違和感を覚えるだろう。資産家がさらに富を増やす光景を見て、富は誰かから誰かへ移転しているだけだと考えるのも自然である。だが、現代の貨幣システムは、その常識とは大きく異なる構造の上に成り立っている。

銀行は預金を使って貸しているわけではない

一般的には、銀行は預金者のお金を集め、それを必要とする人に貸し付け、その利息で利益を得ていると思われている。だが、この理解は実際の仕組みとは一致しない。現代の銀行は「元手なし」で融資を行う。融資希望者の口座に「100万円」と記帳するだけで、お金が生み出される。この瞬間、世の中になかったお金が新たに存在し始めるのである。銀行が受け取るのは通帳上の数字ではなく、その裏にある「借用書」、つまり借り手の返済義務である。

お金は誰かの借金として生まれる

融資によって生まれた100万円は、借り手が返済すると同時に消える。お金が生まれ、そして消える。このバランスで現代の貨幣は管理されている。ここに重要な事実がある。世の中に存在するお金の総量は、世の中の借金の総量と等しいということである。言い換えれば、誰かが持つお金の裏側には、必ず誰かの借金がある。借金する人がいなければ、お金そのものが存在しなくなる。これが信用創造の本質であり、現代の金融システムの根幹をなしている。

銀行は無制限にお金を発行するわけではない

では銀行は、望むままにお金を発行しているのかといえば、もちろんそうではない。借り手が返済をしなければ銀行は損失を被る。貸したお金が返らなければ、銀行の手元には借用書だけが残り、不良債権となるためである。したがって銀行は「この人なら返済できる」と判断した範囲で通貨の発行＝融資を行う。信用にもとづく発行であるため「信用創造」と呼ばれている。

MMTが示す“お金の姿”

この信用創造の仕組みを理解すると、MMT（現代貨幣理論）が強調する前提が非常にクリアになる。お金とは単なる物質ではなく、誰かの負債として立ち上がる記録であり、返済とともに消える電子的な存在である。通帳に記された数字、そして借用書という記録。この二つが揃うことで、お金は初めて実体として扱われる。現代の通貨発行が「記録の書き込み」によって成立していることを知ると、お金に対する価値観は大きく変わってくる。

TAKA

理学療法士/ビール

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理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。