ギリシャ危機と日本の違い──財政破綻を生む本当の条件
数字だけでは見えない「財政破綻」の本質
日本の政府債務残高はGDP比で230%を超える。一方、財政破綻したギリシャは180%。この数字だけを並べれば、日本はとっくに破綻していてもおかしくない。しかし実際には、日本の国債はゼロ金利で安定的に売買され、「円は安全資産」とまで呼ばれている。この矛盾の答えを理解するためには、まずギリシャがなぜ破綻したのかを正しく知る必要がある。
ユーロ加盟が生んだ構造的な弱点
ユーロが発足した当初、各国は通貨統合による経済の拡大を期待した。多くの国がユーロ圏に加わると、労働力や資金が自由に動くため、豊かさが広がるという理想が語られた。ギリシャもその恩恵を求めて加盟を強く希望したが、加盟条件には「政府債務残高をGDP比5%以下にする」という厳しい基準があった。そこで当時の政権は、実際よりも債務が少ないように見せかけてしまった。
嘘が暴かれ、国家機能を失ったままの危機
政権交代後、新政府は財政状況を精査し、旧政権の虚偽報告を明らかにした。公表と同時に市場は混乱し、ギリシャの信用は一気に崩れた。さらに深刻だったのは、ギリシャがすでに「通貨発行権」を欧州中央銀行に預けていた点である。ユーロ加盟後、ギリシャは自国の中央銀行を失い、金融政策も財政政策も自由に選べなくなっていた。政府債務はユーロ建てであり、自国通貨を発行して返済することすらできない。この構造がギリシャを財政破綻へと追い込んだ本質である。
日本は通貨主権を持つ国家である
ギリシャとは異なり、日本は自国通貨である「円」を発行できる完全な通貨主権を持つ国家である。国債は円建てで発行され、その最終的な買い手は日銀である。日銀は政府の子会社として機能し、必要なだけ円を発行できるため、ギリシャのような「返済不能」状態に陥ることは構造的に起こり得ない。数字上の債務残高がいかに大きくても、それが財政破綻を意味するわけではない。
GDP比の比較が無意味な理由
ギリシャ危機を引き合いに「日本もGDP比で破綻寸前」と語られることがある。しかし、通貨主権のないギリシャと、自国通貨を自由に発行できる日本を同列に比較すること自体が誤りである。日本の国債が常に安定し、世界から円が「安全資産」と扱われるのは、まさにこの通貨主権が強固だからである。表面的な数字のみで危機を煽る議論は、貨幣システムの根本を見落としているといえる。
