「“意味への意志”がキャリアを決める──フランクル心理学で働く理由を再構築する」
“意味への意志”がキャリアを決める──フランクル心理学で働く理由を再構築する
久しぶりに実家へ帰ると、
相変わらずの両親の温かさに触れた。
父親の何度も繰り返す「人生なんて何度でもやり直せる」という言葉は、
不器用ながら息子を心配する気持ちの表れだった。
しかし、主人公の心には依然として
“むなしさ” が残っていた。
その答えを求めて、再びおじさんの待つ公園へ向かう。
そこで語られたのが、フランクル心理学の核心──「意味への意志」 だった。
■ フロイト・アドラー・フランクル──人間を動かす3つの意志
おじさんはこう切り出す。
「フロイトは『快楽への意志』、アドラーは『権力への意志』。
そしてフランクルは『意味への意志』を唱えた」
この3つを比べると、人間観が鮮明に浮かび上がる。
- 快楽への意志(フロイト)
→ 人は“快”を求め“苦”を避ける存在 - 権力への意志(アドラー)
→ 人は劣等感を克服し優位に立とうとする存在 - 意味への意志(フランクル)
→ 人は“意味”を求める存在であり、
その意味が見えなくなるとむなしさに沈む
フランクルの主張は、現代のビジネスパーソンにこそ刺さる。
「むなしさ」は、能力不足ではなく、意味が見えないことによって起こる。
■ 実存的虚無感──やりたい仕事がわからないのは当然
主人公はおじさんに尋ねる。
「僕のむなしさも、意味が見えないことが原因なんですか?」
おじさんはうなずく。
「フランクルはそう考えた。
人間は“意味が見出せない状態”が一番苦しいんだ」
実際、ビジネスにおいても…
- 毎日ただ仕事をこなすだけ
- 誰にでもできる業務ばかり
- 成果を出しても心が満たされない
- 本当にやりたい仕事がわからない
これらの背景には、
「意味への意志が満たされていない」 という根本原因がある。
■ 人生を意味あるものにする3つの価値
おじさんは、フランクルの3つの価値を改めて説明する。
① 創造価値(Doing)
→ 仕事・創作・貢献などの“行動”によって実現される価値
② 体験価値(Feeling)
→ 自然、芸術、愛などの“体験”によって得られる価値
③ 態度価値(Being)
→ 苦しみや逆境など“変えられない状況”に対して
どんな態度を取るかで実現される価値
フランクルはこう言っている。
「活動によって、愛によって、
そして最後に苦悩することによって、
人生は意味あるものになる」
これは、ビジネスに応用すれば非常に強力だ。
- 創造価値 → 価値ある成果をつくる力
- 体験価値 → 感性や人間関係を育てる力
- 態度価値 → 苦境の中でも折れずに選択する力
この3つの価値で、どんな仕事にも意味は宿る。
■ 「人生からの問い」とは何か?
主人公は問う。
「自分が何を創造すべきか」と「人生が何を期待しているか」は何が違うのか?
おじさんは言う。
「焦点の位置が違うんだよ。
自分目線ではなく、俯瞰した視点で自分を見るということだ」
■ 自分視点の質問
- 何をすべきか?
- 何をやりたいか?
- 何に価値があると思うか?
これは“意味が見えない人間の典型的な問い”だ。
■ 人生(命)視点の質問
- 今の状況は、私に何を求めているのか?
- この問題は、何を問いかけているのか?
- 私の存在は、誰のために使われるべきか?
これは “意味への意志を満たす問い” である。
■ 「俯瞰」によって仕事の意味は生まれる
おじさんの言う「俯瞰」とは、
自分を“主語の中心”から外し、
より大きな文脈で自分の役割を捉えることだ。
これをビジネスに落とし込むと…
◎ 自分視点
「この仕事、意味ない」
「向いてない」
「やりたいわけじゃない」
◎ 意味(人生)視点
「この仕事は、今の自分に何を鍛えさせようとしているのか?」
「誰を助けるために、ここで私は働いているのか?」
「この問題は、私にどんな学びを与えようとしているのか?」
視点が切り替わった瞬間に、
“意味への意志” は満たされはじめる。
■ 意味は、状況の中にすでに存在している
おじさんは最後にこうまとめる。
「意味とは、自分がつくるものじゃない。
人生から問いとして与えられているものなんだ」
つまり、
- 今いる場所
- 今の仕事
- 今の人間関係
- 今直面している悩み
これらすべてが“問い”であり、
その問いに答えることで意味が生まれる。
意味を探すのではなく、
意味に応える。
それがフランクルの「意味への意志」である。
■ 最後に──意味は「外側」ではなく「上側」にある
「やりたいこと」や「適職」を探しても、
意味が見つからないのは当然だ。
意味は“自分の外側”に落ちているのではなく、
“人生を俯瞰した上側の視点”から立ち上がるものだからだ。
- 今あなたが向き合う苦しみ
- 職場の課題
- 人間関係の摩擦
- 将来への不安
それらはすべて、
あなたに投げかけられた「人生からの問い」である。
その問いに答え続けることが、
キャリアの軸となり、
生きる意味を取り戻し、
実存的虚無感を超えていく道となる。
意味への意志を取り戻したとき、
仕事は“こなすもの”から“応えるもの”へと変わる。
